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原油安で県内反応 企業「利益向上に寄与」 慎重姿勢崩さず、価格反動警戒

経済 | 神奈川新聞 | 2016年1月15日(金) 02:00

横浜市内のガソリンスタンドの価格表示=14日・同市中区
横浜市内のガソリンスタンドの価格表示=14日・同市中区

 燃料に使用されるなど、企業活動を下支えする原油。中東産原油の先物価格が東京商品取引所で14日、安値を更新した。歴史的な価格下落はコスト削減につながるだけに県内企業はおおむね好意的に受け止めた。ただ、これまでも急騰など価格の乱高下があり、企業などは慎重姿勢を崩していない。

 「『満タンで』というお客が増えてきた」。横浜市西区のガソリンスタンド店員(38)は声を弾ませる。レギュラーガソリン1リットルの価格は110円。1年前より30~40円安く、1人当たりの給油量も約2リットル増えた。とはいえ「売り上げピークは行楽シーズンの夏場。(そのころに)反動で急騰しなければいいが」

 県中小企業団体中央会の森洋会長は県石油組合のトップでもある。「ガソリン価格の値下げ競争が過熱し、原油安以上に販売価格が下がって利益が縮小している」と話す。「適正価格を見直し経営の健全性を見詰める機会になれば」

 メリットが大きいとみられる業界も慎重だ。横浜市都筑区でイチゴを栽培する農業の男性(32)は「燃料代が安くて助かるが、高値が続いた昨季までを考えると差し引きゼロ」。ハウス2棟には暖房機を設置。例年冷え込みのピークは1~2月。燃料使用量が急増する可能性もあり「相場動向や気象状況は長期的に心配」と気をもむ。

 「原油安は利益向上に寄与してくれている」と喜ぶのは横浜市内の物流会社の担当者だ。2015年4~12月までのトラックなどの燃料費は原油価格の高騰が続いた14年の同時期に比べて20%超削減できた。ただ「燃料費が下がれば荷主に運賃引き下げを求められる」。これまでのところその声は聞こえてこないが「ここまで値下がると避けて通れそうにない」と懸念する。

 個人消費の増加に期待する小売り。スーパーマーケットを運営する相鉄ローゼン(横浜市西区)は「(原油安で製造コストが下がり)商品単価が下がれば消費者にとってはプラス」と受け止める。ただ、単価が下落し「買い上げ点数が増加しなければ売り上げが減少する」と心配げだ。

 原油安を追い風に北米を中心に生産、販売を伸ばす自動車業界。プラス材料に思われるが、県央地区の自動車部品のプレス加工メーカーは「原油安トレンドが続くあまり、需要の先食いが過度に進み、急に仕事がなくなる反動が起きないか」。中東の景気後退も懸念し「中東はスポット的に大量発注をかけてくる。影響は小さくない」とする。

 総合エンジニアリング大手の日揮(横浜市西区)の担当者は「(原油安は)中東における(石油開発関係の)プラント建設の需要の落ち込みに直結し、いい方向ではない」。一方で、石油化学プラントは米国などで需要が伸び、世界的な原料安や調達コスト低減の利点も。「痛しかゆしという現実がある」と説明した。

 中東での空調機器・設備が業績を押し上げている「富士通ゼネラル」(川崎市高津区)は「原油安は一過性でなく長期化しそう。政府・民間のプロジェクトで中止や工期延期、仕様見直しなどの影響が出そうだ」と神経を尖らせている。

 
 

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