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制度本格運用スタート迫る
理解進まぬマイナンバー 県内企業、2割が対応未着手

経済 | 神奈川新聞 | 2015年12月18日(金) 15:24

 2016年1月からのマイナンバー制度の本格運用を間近に控え、制度の理解が進まず、企業の対応に遅れが生じている。帝国データバンク横浜支店の調査(10月下旬実施)では、対応に未着手の県内企業は2割、各企業に付与される法人番号の活用方法がイメージできない企業も8割に上った。「メリットを感じない」との声も上がり、政府の想定通りには進んでいないのが実情だ。

 同支店によると、制度の「内容も含めて知っている」と答えた企業は75・1%で4月調査から26・4ポイント増加し、認知度は進んだ。ただ「言葉だけ知っている」も24・3%。4社に1社が制度を十分に理解していないことが明らかになった。

 対応については「完了」がわずか6・0%。「対応中」(68・0%)と合わせると7割以上が何らかの措置を取っているが、「予定はあるが何もしていない」は19・6%に上り、「予定なし」も1・5%だった。

 企業には法人番号が付与される。ただ、活用を予定する企業は1・8%で、「検討中」の18・1%と合わせても2割にとどまる。「予定はない」が42・8%で最も多く、「分からない」も37・3%だった。

 また、法人番号付与で便利さを感じるか尋ねたところ、「ある」は3・5%にとどまり、「ない」は3倍以上の12・6%。「あるかないか分からない」が57・0%、「むしろ便利になる使い方を知りたい」が26・9%で、メリットを想像できない企業が8割に上った。活用方法は「取引先の情報更新の迅速化(住所・商号など)」53・3%、「新規取引先の開拓・把握」43・3%、「法人情報の管理・提供」41・1%の順だ。

 同支店は「個人番号の配布が遅れ、法人番号の理解も進んでいない。運用開始を前に駆け込みで準備する企業もあるはずだが、大きな進展は望めず、間に合わなかったり、準備しないまま開始を迎えたりする企業も出てくる」と分析。「政府の読みが甘いと言わざるを得ない」と指摘する。


ありがた迷惑、情報漏えいリスク…
担当者からぼやき声


 社員150人弱を抱える横浜市内の建設業者は11月下旬、年末調整の書類と一緒にマイナンバーを提出するよう指示した。総務部門の担当者がセミナーで教わった「二度手間を省ける」というアドバイスに従った。これまでに6割程度が集まったという。

 提出されたものは鍵付きのロッカーで保管。今後は契約する社会保険労務士事務所に渡し、管理してもらう。入力後に戻されたマイナンバーは専用の金庫などを新たに用意して保管する予定だ。

 手間を掛けて回収したマイナンバーだが、自社での使い道は「はっきり言ってよく分からない」と担当者。社労士事務所とマイナンバーを共有すると「ボタン一つを押せば、退職する社員の履歴を消去できる」などの利点はあるが、共有には1人当たりの料金が発生する。その他の利用方法は今のところ想定していない。「正直、税金の無駄遣い。ありがた迷惑ですよ」と担当者はぼやく。

 同市内のITベンチャーの社長はそもそも「制度自体をよく理解できていない」と打ち明ける。多忙で税理士に指示されるままに対応。システムに投資する余力はなく、情報漏えいのリスクを懸念する。法人番号についても「メリットが分からない」。現段階では積極的な活用を想定しておらず、「周囲の動向を見て、メリットがあれば考えたい」と、しばらくは様子見の構えだ。

 
 

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