日銀横浜支店は14日、12月の神奈川県内企業短期経済観測調査(短観)を発表し、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が全産業でプラス6となり、9月の前回調査から3ポイント下落した。減速が指摘される中国や新興国経済の影響がそれほど深刻でなかったうえ、原油安などで企業の収益環境が良好で、設備投資も活発に行われているという。岩崎淳支店長は「総じてしっかりしている」とし、県内景気が堅調に推移しているとの見方を示した。
業種別に見ると、製造業が1ポイント増のプラス7。中国や東南アジア向けトラックの不振が響き、輸送用機械が14ポイント下落してプラス3となる一方、電気機械は省電力などの高付加価値製品が好調で8ポイント増のプラス4となった。
非製造業は5ポイント減のプラス6。建設は5ポイント増のプラス22となったが、建設・不動産関連では4ポイント減のプラス13に下落した。マンション傾斜問題による購入意欲の減退や規制強化に伴うコストの上昇への懸念があったという。小売りは天候や新製品販売前の買い控えなどの一時的な影響に加え、人件費や店舗の建設コストの上昇などが響き、17ポイント減のプラス7となった。
規模別では、全産業で大企業が3ポイント減のプラス22、中堅が4ポイント減の0、中小が1ポイント減のプラス2となった。中小は製造業が2ポイント増のプラス7、非製造業は不動産の下落が響き、2ポイント減のマイナス1だった。
2016年3月までの予測は全産業で3ポイント減のプラス3。製造業は新興国向け生産に対する懸念から8ポイント減のマイナス1、非製造業は小売りの一時的な影響が解消するとみられ、今回と変わらずプラス6だった。
DIは業況を「良い」と答えた企業の割合から「悪い」を引いた指数。調査は県内の356(製造業156、非製造業200)社を対象に実施し、354社が回答した(回答率99・4%)。