

ガス灯やアイスクリームの発祥地として知られる横浜・馬車道(横浜市中区)。計画道路が整備され、「馬車道」という名が誕生してから2017年で150周年を迎えることを記念し、馬車道商店街協同組合が公募していた記念ロゴが決定した。応募29作品の中から、グラフィックデザイナー天野和俊さん(同区)の作品が最優秀作品に選ばれた。
作品のコンセプトは「歴史の轍(わだち)から、未来の轍へ」。馬車が走っていた頃にあったであろう轍を2本の線で表現し、未来に続く街の姿をイメージ。文字はタイプデザイナーの両見英世さんが開発中の、横画に横浜港を行き交う船、縦画に海上から見える建築群をイメージした「濱明朝体(仮)」を使用した。全体をブラウンとサーモンピンクでまとめ、伝統的な街のイメージと、アニバーサリーにふさわしい軽やかさを表した。
審査には、東京芸術大学美術学部教授の松下計さんや協同組合理事らがあたった。審査員の一人で、同組合専務理事の則竹聡一郎さんは「奇抜すぎず、馬車道らしいすっきりとした作品で、評価が高かった」と選定の理由を話した。
天野さんは「Dance Dance Dance@YOKOHAMA2015」「東京駅ステーションホテル」のロゴデザインや、大手企業の商品のパッケージデザインなどを数多く手がけてきた。デザインするにあたり常に心がけていることは、「背景や物語を、丁寧に描くこと。誠実に、正直に向き合うこと」だという。
記念ロゴは街頭フラッグや印刷物に利用され、来春からの約2年間、街に彩りを添える。天野さんは「商店街の人たちともアイデアを出しながら、記念グッズなども展開できれば」と話している。