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神奈川工業技術開発大賞(5)植物油を燃料に改質

経済 | 神奈川新聞 | 2015年11月5日(木) 09:55

植物原油をディーゼルエンジンに使える燃料に改質するシステムを開発したナノフュエルの松村健彦社長=川崎市川崎区
植物原油をディーゼルエンジンに使える燃料に改質するシステムを開発したナノフュエルの松村健彦社長=川崎市川崎区

 地球環境に負荷の少ない再生可能エネルギーを利用した発電が注目される中、植物原油をエンジン燃料に使うための前処理装置を開発した。独自のナノ技術を活用して発電用ディーゼルエンジンで使用可能な燃料に改質。バイオマス発電所の整備計画が国内外各地で進む中、世界初となる液体バイオマス発電の実用化に役立てていく。

 「植物原油をディーゼルエンジンの燃料に使いたい」。2008年、欧州発電機メーカーの要求を受けた国内大手エンジンメーカーから依頼を受けたのが発端だ。

 パーム原油やジャトロファ原油といった植物原油をそのまま用いると、油に含まれるリンが固化。燃料噴射ノズルが詰まり、エンジンが停止してしまう。そもそも植物原油は引火点が高く、燃焼効率が悪い。

 開発した改質システムは「エンジンが停止しないよう、植物原油に簡単な前処理を施すもの」だ。ナノフュエルの松村健彦社長(57)は説明する。複雑な工程を必要としないのが特徴で、代表的なバイオ燃料のBDFに比べ製造コストを10分の1に抑制。二酸化炭素や窒素酸化物といった有害物質の排出量も減らした。

 システム工程は主に2段階。まずは植物原油に含まれるリンを、ナノエマルジョン化(微粒化)した水で除去する。さらに、その植物原油に水と専用の添加剤を加え、水をナノエマルジョン化。すると、油滴中で水の粒子の表面積が増えると同時に油膜が薄くなり、燃焼効率が大きく向上。引火点を変えずに燃焼時間を大幅短縮させた。

 太陽光や風力による発電は気象条件や時間帯により発電量が定まらないのに対し、「植物原油を利用した液体バイオマス発電は持続的に発電できる」(松村社長)利点がある。

 国内複数の発電所計画に携わるほか、海外からの引き合いも多い。「バイオマス発電はインドネシアのように離島が多く、植物原油の生産量が豊富な地域に最適。いわばエネルギーの地産地消です」。前身の会社が30年培った独自技術を引き継ぎながら再生エネルギー市場の新境地に切り込んでいく。


 

ナノフュエル 2006年10月設立。資本金1億100万円。ナノテクノロジー技術を利用したエネルギー関連製品の開発。従業員数20人。川崎市川崎区殿町。

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