構造改革の一環として、本社売却・移転を決めたパイオニアについて、国内家電メーカーの動静に詳しい早稲田大学ビジネススクールの長内厚准教授は「パイオニアは車載機器に特化して活路を見いだそうと事業譲渡を進めてきた。組織がスリム化した分、相応の拠点に移るのは前向きな判断」と語った。
同准教授は国際競争にさらされる国内企業が「総合メーカー」から得意分野に特化して生き残りを図る傾向が強まっていることを挙げ、「事業をやめる決断は難しいが、グローバルで勝ち抜くには選択と集中が欠かせない。パイオニアの場合、国内数社しかない地図会社の一つを子会社に有しており、車載機器を中心とした地図ビジネスで強みを発揮し攻勢を強めていくのでは」との見方を示した。
浜銀総合研究所の新瀧健一主任研究員は「中国をはじめとした新興国経済の減速があり、車の販売自体の先行きに不透明感が出ている。車載機器の生産に軸足を置く中、固定資産を売却して財務体質を改善しようとしている」と語った。