JR川崎駅東口駅前地区について、川崎市はパチンコ店や風俗店などの新規出店を制限する都市計画法上の地区計画を策定する方針を決めた。同地区には5月に閉店した百貨店「さいか屋川崎店」の跡地も含まれており、用途制限を設けて川崎の「玄関口」にふさわしい施設の誘導や魅力的なまちづくりにつなげる考えだ。今後住民説明会などの手続きを経て、年度内の都市計画決定を目指す。
市が規制をかける新たな都市計画地区計画(川崎駅東口駅前地区地区計画)の対象は、さいか屋川崎店跡地を中心に川崎日航ホテルや川崎ルフロン、ラ・チッタデッラなどを含むA地区(4・3ヘクタール)と、川崎モアーズや商店街「銀柳街」周辺のB地区(2・1ヘクタール)を合わせた約6・4ヘクタール。
同地区は現在、都市計画法で商業地域に位置付けられており、風俗店や遊技場なども出店できる。しかし、市は川崎の「玄関口」にふさわしい健全な街並みを目指すとし、A地区について、マージャン店やパチンコ店、キャバレー、工場、マンションなどの共同住宅の新規出店や建設ができないよう用途を制限する方針を決定。既存店舗は制限の対象外とするが、建て直しは認められない。川崎駅北口地区で定めている地区計画と同様とする。
さいか屋跡地をめぐっては、川崎商工会議所や地元商店街連合会などが駅前の回遊性や活性化に向け、今後の土地建物利用に関して市に「駅周辺地区にふさわしい機能と施設となるように十分な指導と積極的な誘導策」を講じるよう要望。福田紀彦市長も「この場所は市の玄関口であり顔。それにふさわしいにぎわいづくり、まちづくりをやらないといけない。ある種の規制が必要だと認識している」と話している。
市によると、同店跡地の土地や建物を所有する都内の投資組合から、現時点で具体的な土地利用計画は示されていない。老朽化の進んでいる建物は、年内にも解体工事が始まるとみられる。
市は、近隣住民や事業者向けの都市計画素案説明会を15日に開催し、10月17日に公聴会を開く。都市計画審議会の審議を経て、年度内に都市計画を決定する予定。