中国景気の減速懸念がくすぶるなか、日中関係改善の今後にも関心が集まる。中国・対外経済貿易大の劉慶彬副教授(横浜国立大先端科学高等研究院連携准教授)に、中国経済の今後や日中関係についての展望を聞いた。
-今後の中国の経済動向をどう展望しているか。
「輸出産業の存在感が大きい中国南部ではまだ楽観視できない。日系企業は国内生産に回帰し、米政府も自国からの輸出に注力している上、欧州向けの中国からの輸出も不振で、トリプルパンチの状況となっていた。人民元の切り下げは輸出を支えるためだが、それが世界同時株安を招いたのは予想外だったのではないか。ただ上海株は年初からバブル的な状態になっていたので、それが元に戻ったともいえるだろう。中央銀行の迅速な利下げも安心材料。世界は評価すべきだと思う」
-天津市で起きた爆発事故が残した教訓とは何か。
「安定成長に『発展と環境保全』の両立が課題だったが、事故を受けて『発展と安全』の両立も庶民の関心になりつつある。住民には健康被害への不安が募っており、共産党は政府を主導してさまざまな手を打とうとしている。被災住宅の補償に当局が応じるかどうかが注目される」
-安倍晋三首相による9月の訪中が見送られた。