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「湘南の波」世界へ ヨットハウス建て替え完了 県内2社、難工事乗り切る

経済 | 神奈川新聞 | 2015年7月6日(月) 10:04

「湘南の波」をイメージした屋根が特徴の新たな「湘南港ヨットハウス」(県藤沢土木事務所提供) 
「湘南の波」をイメージした屋根が特徴の新たな「湘南港ヨットハウス」(県藤沢土木事務所提供) 

 2020年の東京五輪で、セーリング競技の会場に決まった江の島(藤沢市)。その日を心待ちにする企業が相模原市にある。湘南港港湾管理事務所(湘南港ヨットハウス)の建て替えに携わった谷津建設(相模原市中央区)と湘南デザイン(同市緑区)だ。「湘南の波」をイメージした波形の屋根を施工するため、協力して難工事を乗り切った。

 13年初頭。谷津建設の谷津弘社長(62)は新ヨットハウスの設計図面を前に頭を抱えていた。

 旧ヨットハウスは、1964年に開催された東京五輪のヨット競技会場として整備された湘南港の、付属施設として建設。50年が経過して老朽化し、耐震性も低いことから、県が建て替え工事を発注、同社が受注した。


 谷津社長を悩ませたのが新ヨットハウスの屋根(長さ約75メートル、幅約35メートル)。「湘南の波」をイメージし、複雑な3次元曲線で描かれたデザインが採用された。「建築はXとYが基本」と谷津社長。平面図と立体図の2次元の世界だ。ましてや大手も敬遠するような複雑なデザイン。設計図面を精査しても、建物の完成イメージが湧かず、施工方法を検討する上で重要な建築模型すら製作できずにいた。「辞退するという選択肢も頭をよぎった」

 そんなとき、谷津社長の携帯電話が鳴った。別件で連絡してきた湘南デザインの松岡康彦社長(59)だった。模型を製作できないか相談すると、松岡社長は笑って言った。「何言っているんですか。うちはずっと前から3Dプリンターを使っているんですよ」。同社は3Dプリンターを使い、工業用の試作品を製造している。1カ月後に100分の1の模型が届いた。「完成イメージがはっきりしたことで、施工方法や足場を組む場所など、すべて決めることができた」


 ここからは建設会社の腕の見せ所だ。工事には別の課題もあった。それは沿岸部特有の強風。当初は2千平方メートルを超える波形の屋根を4分割し、1日ずつコンクリートを打設する計画だった。だが無風の日が4日続くとは限らない。「打設の間隔が空けば、それだけつなぎ部分に問題が生じる可能性がある」。12月の無風の日、社員ら130人ほどが総出で1300トンのコンクリートを半日で一気に打設。工事翌日、現場は風速27メートルの風が吹いた。新ヨットハウスは昨年6月に開所。「実際に建築できるのか」と懸念していた松岡社長は驚いた。「模型とまったく同じものが目の前にあった」

 白を基調とするヨット競技の新たな拠点に、五輪がやってくる。施設の利用方法は未定だが、「何らかの形で使われるのは間違いないでしょう」と県藤沢土木事務所。「本当にうれしい」と喜ぶ谷津社長は「世界の人々に日本の建築技術を知らしめたい」と意気込み、松岡社長は「五輪開催時だけでなく、神奈川の観光の目玉施設に成長してほしい」と願っている。


湘南港ヨットハウスの建築模型を手にする谷津社長=相模原市中央区
湘南港ヨットハウスの建築模型を手にする谷津社長=相模原市中央区

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