
コンビニエンスストアのスリーエフ(横浜市中区)が、青果の強化に注力している。増加傾向にある働く女性や高齢者の来店の動機にし、売り上げ拡大につなげる狙い。同業他社のほか、食品スーパー、ドラッグストアなど、業界の枠を超えた競争が激化する中、店の立地に合わせた個性ある店づくりを進め、勝ち残りたい考えだ。
キャベツ、ダイコン、アスパラガス、メロン…。
JR本郷台駅から徒歩約20分。住宅街にある「スリーエフ栄鍛冶ケ谷店」(同市栄区)は、店の外にテントを設置、常時、20種類前後の野菜と10種類近くの果物を扱う。県内農家からの産地直送野菜が並ぶこともあるという。
価格は、例えば今月3日の場合、キャベツが1個158円。「主婦の目線で見ても、スーパーと比べ決して高くないと思います」と女性従業員。毎週金曜は、98円均一を打ち出すなど普段より安く提供。野菜を使って手軽におかずを作ることのできる調味料も、品ぞろえを拡充した。
同社の店舗数は、1都3県で558(2月末現在)。このうち栄鍛冶ケ谷のような青果強化店舗は現在、半分近くを占めるという。
働く女性が増え、買い物や料理に「時短」を求める傾向があるほか、自宅近くで買い物を済ませたいという高齢者のニーズが高まっていることが背景にある。
同社は一方で、人通りの多い駅近くを中心に、「BOOKS強化」の店づくりも進めている。話題の新刊やコミックなどを充実させ、サラリーマンや学生らの集客につなげる狙いだ。
「街の本屋さんが減っている点も背景にある。コンビニを書店代わりに利用し、他の商品も購入してもらえれば」と担当者。今後も地域に合わせた品ぞろえや、顧客視点での商品開発に力を入れるとしている。