5月末で営業を終了するさいか屋川崎店(川崎市川崎区)の跡地利用に、地元の注目が集まっている。川崎駅東口の表玄関に位置し、今後のまちのにぎわいにも影響する案件。川崎商工会議所や地元商店街連合会などは27日、駅前周辺地区にふさわしい機能と施設となるよう積極的な誘導策を講じるよう市と市議会に要望書を提出した。現時点で跡地利用の方向性は明らかになっていない。
さいか屋川崎店は1956年5月開店。同社は2009年に債務超過に陥り、事業再生ADR(裁判外紛争解決手続き)で川崎店の不動産を売却、賃貸契約によるリースバック方式で営業してきた。しかし、建物の賃貸借契約期間(5年)が満了となり、5月末をもって約60年の歴史に幕を閉じることが決まっている。
これを受け、同商議所と市観光協会、川崎駅前商店街連合会、川崎中央商店街連合会の4団体が連名で、跡地利用の有効活用について福田紀彦市長らに要望書を提出した。
要望書では「さいか屋のにぎわいがなくなれば、回遊性の確保に支障をきたしかねない」と指摘。その上で今後の土地建物利用に関し、「駅周辺地区にふさわしい機能と施設となるように十分な指導と積極的な誘導策を講じられるよう要望する」としている。
同商議所の山田長満会頭は「駅前周辺の回遊性を考えることが不可欠。川崎を元気にするため、要望には地元産業界の思いが込められている」と強調。福田市長は「将来のあり方などについて検討を進め、にぎわいと魅力にあふれたまちづくりを推進する」とコメントした。
市まちづくり局によると、土地や建物を所有する投資組合から、現時点で具体的な土地利用の意向は示されていないという。ただ、パチンコ店進出が一時取り沙汰されるなど、市や地元関係者らは大きな関心を寄せている。
同局は「市のイメージや人の流れにも大きな影響があると認識している」との立場から、「投資組合と駅前にふさわしい都市機能の集積や都市景観の形成について意見交換している」とし、引き続き投資組合に協力を要請していくという。
さいか屋川崎店は27日、「閉店感謝さよならセール」をスタートさせた。同店は「皆さまのご愛顧に感謝の気持ちを込め、残り5日間、ご奉仕価格で提供したい」としている。