
相鉄ホールディングス(HD)は26日、連結子会社相鉄バスに出向している社員に対し、転籍もしくは早期退職を選択してもらう方針を発表した。相鉄バスはHDよりも賃金水準が低く、これまでHDがその差額分を補填してきた。しかしその額は年間10億円超と大きな負担となっており、転籍などを促すことで、バス事業への支出削減を図る。
同日開催の取締役会で決議した。対象者は207人(うち乗務員149人)で平均年齢は50・4歳。HDと相鉄バスとでは、社員の年収は平均約350万円の開きがあるという。
HDが出向社員に提示しているのは(1)相鉄バスへの転籍(2)早期退職。(1)では規定の退職金に加え「退職加算金」を支給し、(2)では退職金のほかに「加算一時金」を支払う。(1)(2)いずれも選ばなかった場合は原則HDに復職するが、バス以外の職場での勤務となる。選択期間は6月1~15日。
対象者全員が転籍を選んだ場合、最大約50億円の特別損失が発生する見通し。業績への影響を軽微なものとするため、HDは保有資産を売却するなどして対応する。
HDは2010年10月、バス事業を分社化。当時、HDから出向した社員は、分社前の賃金体系を維持することで労使双方が合意した。今回の件では昨春以降、労働組合と交渉を行っているが、現時点で合意に至っていない。労組側は「出向の継続を求めていく」としている。