厚木市が官民複合施設として再生させた「アミューあつぎ」(同市中町)が開業して1年が経過した。来場者は3月末現在で約292万人に達し、既に初年度目標を大幅に上回った。周辺の通行者も開業前に比べて約5割増え、中心市街地のにぎわいを創出させる成果が表れ始めている。
アミューあつぎは、市が閉鎖中の商業ビルを取得して上層階に市有施設を集約、下層階に民間店舗を誘致して昨年4月26日に開業。小田急線本厚木駅周辺の中心市街地活性化の試金石に位置付けられた。
市によると、今年3月末までの総来場者は292万3548人。内訳は民間店舗の商業ゾーン253万3251人、貸し会議室や子育て支援施設などの公共ゾーン39万297人。初年度の目標は総来場者が135万人で、商業ゾーン100万人、公共ゾーン35万人だった。
ただ、22店舗が入居する商業ゾーンの売上高は20億円の目標達成が困難視されている。営業不振から大型連休明けに家具を扱う大手チェーン店が閉店、最初の撤退になるという。
アミューのもう一つの目的である周辺の回遊性とにぎわいの創出については、市が3月に開業後2度目の通行量(歩行者)調査を実施。本厚木駅からの動線上6カ所で開業前(昨年2~3月)のデータと比べて合計で約5割の増加が見られた。この結果は昨年7月の前回調査を約2割上回った。
昨年7月には施設内が停電、復旧に約4時間半を要するトラブルも起きた。閉鎖前の受変電設備を使用していたためで、市は本年度約2700万円を投じて設備更新する予定。
市中心市街地整備課は「来場者が多かったのはアミューへの市民の期待の表れではないか。2年目の課題は商業ゾーンの売上高確保。好評な公共ゾーンの利用は高齢者や女性グループが主体であることが分かったので、そのニーズに合った品ぞろえを考えたい」と話している。