横浜市中央卸売市場南部市場(同市金沢区)が31日、中央卸売市場として42年の歴史に幕を下ろし、4月から管理が民営化する。本場市場(同市神奈川区)の業務を補う役割は継続しつつ、今後は小売り拡大など独自の歩みを進めていくことになる。
◇
31日昼。南部市場の正門前に集まった水産、青果、花きの各部の業界関係者が名残を惜しんでいた。文字看板のうち「中央卸売市場」が外され、「横浜南部市場」と改められたからだ。青果卸幹部は「名は変わっても歴史はなくならない。本場とさらに連携して産地の期待に応えていく」と気丈だった。
南部市場は、高度経済成長期に人口が急増した市の需要に、1931年開設の本場だけで応えられなくなり、73年に開設。以来、“ハマの台所”として生鮮流通を支えてきた。
中央卸売市場は国の認可を受け、都道府県などが開設するために信用度が高く、産地から荷が集まりやすい。一方で、開設者は施設・運営費がかさむほか、業者から払われる使用料は売上高に応じ変動するため、量販店の大型化などで場外流通が増加する中、安定経営が全国的に難しくなっているともいわれる。
横浜も本場、南部、食肉市場と三つある中央卸売市場のあり方の見直しに着手。2010年7月に中央卸売市場としての南部市場は廃止し、本場を補完する流通の場として機能を高めることになった。市場関係者で新たに組織し、今後の管理を担う横浜南部市場管理協会の向後重男代表理事は「本場とともに歩む役割は変わらない」と強調する。
配送や保管、加工など本場の補完機能を担う「物流エリア」と、一般の人が買い物できる「賑わいエリア」とに分けて「開かれた市場」を目指すという。向後代表理事は「南部市場は『終わった』ではなく、むしろこれから『始まる』。新しいあり方を市場人一丸となって、模索していきたい」と語った。