東日本大震災で被害が大きかった岩手・宮城・福島の3県からの魚介類の輸出量が、震災から3年たった2014年でも、震災前年の半分にも満たないことが、横浜税関の調査で分かった。東京電力福島第1原発事故を受け、アジア地域を中心に、日本の水産物に対して輸入停止などの措置を講じていることが主な要因とみられる。輸出入の総額自体は震災前の水準まで回復してきているが、税関は「魚介類は回復が遅れており、今後も厳しい状況が続くだろう」と分析している。
宮城・福島を管内に持つ横浜税関が、岩手を管内に持つ函館税関と協力し、特に被害が甚大だった被災3県の貿易の変化について、初めて調査した。
3県の魚介類やその調製品の14年の輸出量は4万277トン。10年(10万2548トン)の4割程度の規模だ。輸出額も75億6千万円と、10年(162億6千万円)の半額にも届かなかった。
回復が遅れている背景に、原発事故の影響を懸念した海外各国が講じる輸入規制がある。農林水産省によると、3日現在、韓国は3県を含む13県からの農林水産物について、品目を決めて輸入停止に。中国は宮城と福島を含む10都県からのすべての食品と飼料の輸入を停止している。停止までではなくても、政府や検査機関が作成した放射性物質検査報告書を要求する国も多く、税関は「輸出しづらい環境が続いている」と説明。結果、3県の輸出総額に占める魚介類の割合は10年の3・9%から、1・9%にまで低下した。
輸出入の総額自体は、どちらも震災前の水準まで回復している。3県の14年の輸出総額は4028億円。10年と比べて4・3%減と震災前までには届かなかったものの、3年連続で増額した。
輸入総額は1兆3929億円。10年と比べても39・5%増と震災前を上回った。特に太陽光パネル、原油・粗油などのエネルギー、住宅を建築するための木材の回復が顕著だった。
【神奈川新聞】