ことしの国交樹立60年に合わせて来日しているラオスのトンシン首相(70)ら一行が5日、ものづくり企業が集積する川崎市川崎区大川町の工業団地を訪れ、中小企業の工場を見学した。ラオスは新たな投資先として注目を集めており、昨年11月には川崎の企業経営者ら約40人が現地を訪問。今回の視察はラオス側の要望で実現した。川崎が世界に誇る高い技術力を前に、首相は「日本の技術は素晴らしい」と目を丸くしていた。
トンシン首相は4日に日本を訪れ、岸田文雄外相と会談。6日には安倍晋三首相との首脳会談が予定されている。
川崎ではトンシン首相のほか、ソムディー計画投資相など政府関係者ら約20人が視察。金属部品加工を手掛ける「日の出製作所」と、オフィスチェアやソファなどを製造する「キルト工芸」の2社を訪問した。
日の出製作所では、岩美恵子取締役が「油にまみれる業界で若者には好まれないが、毎年数人の若者が入社してくれ、社内が活性化している」と自社を紹介。工場では「航空機や船舶、医療など、あらゆる分野に部品を提供している」などと説明を受けながら、トンシン首相は製品を手に取ったり、社員が製作したロボットを興味深そうに見学したりした。
タイとベトナムの間に位置する人口約680万人のラオスは、安価な労働力に加え8%を超える高い経済成長率で注目を集めている。川崎との関係も深く、昨年11月には川崎市とラオス計画投資省との間で、ラオス進出支援に関する覚書を結んだほか、川崎商工会議所もラオス商議所と経済協力協定を締結。工業炉の設計・施工のほか、デッキ材の商品などを扱う東洋ロザイ(川崎区、山村弘樹社長)が現地に進出している。
【神奈川新聞】