
中国の旧正月「春節」に当たる19日、県内の商業施設や観光地では、休暇を使って訪れた中国人らを歓迎するムードに包まれた。円安などを背景に、中国など東アジアからの訪日旅行が拡大傾向にある中で迎えた今年の春節。横浜市内の百貨店にはこの時期としては初めて福袋が登場するなど、客を迎える側の企業は、大きな商機ととらえ、アピールに注力している。
「熱烈歓迎(いらっしゃいませ)」-。そごう横浜店(横浜市西区)には正面入り口をはじめ、店のあちこちに中国語の表示が掲げられた。各階で中国語の案内放送も流れている。
最近、外国人客が確実に増えているという同店は、この時期としては初めて福袋を販売。日本茶、靴下、タオル、南部鉄器など全館で約5千個を用意した。中身が見えるよう、透明のビニールバッグに入れた商品もある。
中国・北京から来た公務員の女性(34)はこの日だけで靴や傘など約4万円分を購入。「滞在中の予算は決めていない。良い物があれば、多少高くても買うと思う」と話した。
同店では、特設カウンターを2カ所開設。24日までの間、中国語を話せる通訳2人を常駐させ、おもてなしを強化する方針だ。
日本政府観光局(JNTO)の発表によると、1月の訪日客の数は前年同月比29・1%増の121万8千人。1月としては過去最高という。昨年の春節休暇期間は1月だったが、今年はさらに上回った。特に東アジア市場は活況で、沖縄県・尖閣諸島問題を機に一時、下火だった中国も今は回復。45%増の22万6千人と大幅な伸びを示した。
「今年の春節は間違いなく、例年以上のにぎわいとなる。町ぐるみで歓迎したい」。横浜中華街発展会協同組合の李宏道理事長は、そう力を込める。
東アジアの人々から根強い人気を誇る箱根。船やロープウエーなど小田急グループの交通機関が集まる桃源台ターミナル(箱根町元箱根)では、中国人観光客をもてなす歓迎イベントが行われた。箱根芸者の「きらり妓(こ)」がきらびやかな演舞を披露してお出迎え。折り紙や書道など日本文化を体験できるコーナーも設けられ、約500人が参加した。
上海から来た会社員の男性(40)は4歳の娘が漫画「ドラえもん」を好きなこともあり、旅行先に日本を選んだ。「伝統的な文化を感じることができて面白い。妻や娘も大満足だ」と話し、芸者との記念撮影を楽しんでいた。
沖縄、大阪、東京、新潟と各地を回り、温泉やスキーを堪能。東京ディズニーランドにも行く。「日本はサービスがいい。せっかくなので日本を満喫したい」と笑顔を見せていた。
【神奈川新聞】
