
中国の旧正月「春節」(今年は19日)を前に、県内の百貨店や鉄道事業者が盛り上がりを見せている。円安などインバウンド(訪日外国人旅行)に追い風が吹き、今年の春節は中国をはじめ東アジアからかつてないほどの客が訪れると予想されているからだ。加えて最近は外国人客の“波”が横浜、神奈川にも及びつつある。各社は春節用の福袋やキャンペーンを計画、外国人の取り込みを狙う。
「今年の初売りの免税カウンターでの手続き件数は前年比2・5倍に増えた。化粧品や福袋、婦人服、ブランド雑貨などがよく売れた。こんなに外国人客でにぎわった初売りはおそらく初めて」と話すのはそごう横浜店。中国、台湾、香港が特に多いという。
円安やビザ緩和措置などを背景に増加傾向の訪日外国人客。昨年初めて1300万人を超えた。ただ、これまで百貨店業界で恩恵を受けていたのは東京地区が中心だった。が、「波は着実に横浜にも来ている」
同店は昨秋以降、インバウンド対応を強化。店内のフロアガイドのQRコードにスマートフォンをかざすと14カ国の言語で案内するサービスも新規導入した。今年の春節は初めて福袋約5千個を用意。今治産タオルや江戸切り子などを詰め、各階のお薦め商品を中国語で放送予定という。
横浜高島屋も、春節期間は初めて福袋や化粧品の限定キットを販売するほか、通訳のスタッフを増員。店内に2カ所ある免税カウンターも増設する方針だ。
鉄道各社も熱を帯びている。小田急電鉄が今月末まで実施中の春節キャンペーンでは、新宿と小田原の旅行センターで乗車券などを購入した外国人の先着2万5千人に手ぬぐいを進呈。無料配布中の「クーポンブック」をグループの対象施設で提示した客には、各種特典を付けている。
19~21日は箱根・桃源台ターミナルで歓迎イベントを実施。日本文化の体験の場も設ける予定だ。
京浜急行電鉄も、外国人客限定の乗車券を購入した客はカプセル自動販売機が利用できるキャンペーンを展開中(今月末まで)。賞品には食事券や入浴施設の無料券などを用意した。また、海外で発行されたカードに対応した現金自動預払機(ATM)の設置を進めているセブン銀行とタイアップ。オリジナルグッズの進呈や羽田空港国際線ターミナル駅での大規模告知を行い、外国人客へのアピールを強める。
【神奈川新聞】