横浜市中心部のホテルが相次いで、ブライダル部門を強化している。近隣に新規の結婚式場が開業しているのに加え、近年は少子化が進み、挙式をしない「なし婚」層も増えるなど、逆風の状況下にある。各ホテルは新規顧客を獲得しようと、知恵を絞っている。
ホテルニューグランド(横浜市中区)はフレンチレストラン「ル・ノルマンディ」での婚礼を強化する。プロジェクションマッピングを新規導入。最新の映像機器を使い、新郎新婦の幼少時の写真や横浜の歴史などを紹介し祝宴を盛り上げる。新たな照明演出やキャンドルサービスを始めるほか、新郎新婦用のいすやテーブルクロスなども刷新。「ホテルの伝統を維持しつつ、婚礼機能の充実を図りたい」と意気込む。
横浜ベイホテル東急(同市西区)は9月から、ウエディングコンシェルジュによる自宅訪問を始めた。平日の横浜市内限定ではあるが、新郎新婦やその両親の自宅へ訪れ、挙式の費用や日程などを打ち合わせる。「市内ではおそらく初めてのサービス」と担当者。「対応できる地域や時間が限られもどかしさはあるが、こうした取り組みを知ってもらい少しでも間口を広げられたら」と期待を寄せる。
各ホテルが婚礼部門を強化する背景には、市内で結婚式場の開業が相次いだことが挙げられる。2013年11月には「グランドオリエンタルみなとみらい」、今年2月には国内最大規模を誇る「アニヴェルセルみなとみらい横浜」がオープン。周辺のホテルからは「地域としての注目度は高まったが、影響は避けられない」「挙式件数は減少傾向」といった声が多く聞かれ、苦戦している状況がうかがえる。今後も新規顧客の取り込みに向け、各社の競争が激化しそうだ。
矢野経済研究所は14年のブライダル関連の市場規模は前年比0・2%減の2兆6千億円と予想している。
高価格帯の有名ホテルや式場では1組当たりの単価が上昇傾向にあるものの、市場の大勢を占める200万~300万円前後の婚礼を手掛ける会場は、全般的に苦戦しているという。要因として挙式を行わない層や、リゾート婚、ごく少人数による会食を選択する人が増えている点を挙げている。
【神奈川新聞】