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【社説】エアバッグリコール 業界挙げて対応を急げ

経済 | 神奈川新聞 | 2014年12月9日(火) 11:00

自動車部品大手タカタ(本社・東京)が製造したエアバッグに欠陥が見つかり、リコール(無料の回収・修理)台数が広がっている。死亡事故があった米国では対応の遅れに批判が高まっている。

同社製のエアバッグは衝突時に異常な勢いでガスが発生し、金属製容器が破裂する恐れがある。金属片が飛び散る事故が相次ぎ、米国とマレーシアで6人の乗員が死亡したと伝えられている。

リコール対象は、国内で約280万台に上り、全世界では1300万台以上に拡大している。米道路交通安全局は11月、対象を一部地域から全米に広げるよう命じていた。

これに対し、同社は明言を避けたものの、自動車メーカーと協力して対応する方針を表明した。同社製のエアバッグを搭載しているトヨタ自動車とホンダが、予防的措置の観点から業界全体で第三者の調査機関を立ち上げ、対応していく姿勢を示したことは評価できる。

エアバッグの欠陥は2004年、ホンダが搭載する車で異常破裂を確認、05年にタカタ側へ報告された。07年以降も関連する事故が続き、リコール台数が増えた。米議会の公聴会では情報を小出しにするかのような一連の対応が非難された。

背景には日米のリコール制度の違いもある。日本では原因が特定された段階で手続きを始めるが、米国では被害防止を優先して原因不明でも実施される。乗員の命を守る装置に危険性があると指摘されれば、不安が高まるのは当然だ。

県警が04年に立件した三菱自動車のリコール隠しを思い出したい。部品の強度不足で大型トレーラーのタイヤが外れて母子が死傷した。不具合の情報が多数寄せられていたにもかかわらず、整備不良と扱われた結果、重大事故を引き起こした。

エアバッグは1990年半ばから急速に普及し、ほぼ全ての車種に搭載されている。装置は運転席などに内蔵されて衝突時に作動するため、消費者は不具合に気付きにくい。国内ではリコールの改修率が6割にとどまっており、一層の周知や注意喚起などの対応が求められる。

タカタが製造するエアバッグは世界市場の約2割を占め、高い技術力は評価を集めていた。大規模なリコールは国内自動車業界にとって大きな痛手になるだろうが、安全文化の向上につなげたい。

【神奈川新聞】

 
 

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