厚木市西部の「森の里東土地区画整理事業」が本格始動する。県が28日、市街化区域編入の都市計画決定と環境影響予測評価書の公告・縦覧を開始したことを受け、市は同日、組合設立を認可した。これで事前の手続きが終わり、来年1月中旬に着工する。産業系の大規模用地の開発は市内では半世紀ぶり。整備が進む圏央道や新東名高速に近い立地条件を生かして、企業誘致に力を入れる。
同事業は2009年4月、地権者による組合設立準備委員会(杉山文則会長)が発足。昨年11月に業務代行予定者の共同企業体と基本協定を締結して一連の事前作業を進めてきた。
事業計画によると、同市下古沢、上古沢、愛名、森の里青山にまたがる約68ヘクタールの丘陵のうち約25ヘクタールを産業用地として造成、20社程度の進出を見込む。工期は14~23年度で総事業費は約114億円。
計画地のうち、西側の約5ヘクタール(Aゾーン)を来年1月に着工して先行整備。基盤工事を行いながら企業と仮契約を順次結び、17年度からの操業開始を目指していく予定。
現地の大半は東丹沢の山麓に近接する緑地。市が提出した環境影響予測評価書では、開発行為に対する住民からの不安の声への対応や自然環境、生態系保全への配慮が示された。
例えば、希少種のオオタカについて工事関係者による営巣林への立ち入り制限、周辺のハイキングコースにロープを張るなどの対策を講じる。残存林は都市計画緑地に指定、専門家の意見を聞いて重要種の移設・移植を実施する。
周辺では圏央道の一部であるさがみ縦貫道路が本年度内に全線開通するほか、新東名は16年度以降に厚木南インターチェンジが完成、国道246号バイパスの整備が進む予定。また、圏央道沿いの自治体は国指定の「さがみロボット産業特区」になっている。
組合関係者は「Aゾーンに関しては既に手を上げている企業が数社ある。高い進出意欲を逃さないように基盤整備を急いでいきたい」と話している。
【神奈川新聞】