人工知能の「東ロボくん」は東京大学を目指し、目下、受験勉強に励んでいるという。まだ開発途上だが、予備校の模試で偏差値が年を追うごとに上がっているそうだ
▼彼の夢は博士か大臣か? 国立情報学研究所の開発者によると、受験という多くの人が経験する機会を通じて、人工知能の可能性と限界を明らかにする狙いとのこと。エリートコースへの通過点というわけではなさそうだ
▼人工知能を搭載したロボットの将来性について、政官財を挙げて熱い視線を投げかけ、18世紀半ばころからの産業革命になぞらえる。政府は成長の「切り札」としてロボット革命実現会議を立ち上げ、年内に具体的な支援策を策定。県内の特区の主要プロジェクトでもあり、地域経済への波及に期待は大きい
▼一方で、人工知能の発達で人間の仕事が奪われるのではという漠とした不安も少なからずあろう。東ロボくんの学力向上が続き、東大に合格、卒業、就職したら、職場の“スーパーパーソン”と呼ばれるのではないだろうか
▼現代の仕事や日常生活は高度化したコンピューター抜きには成り立たないと言っても過言ではない。あらゆる分野への人工知能導入の可能性は、これから人間が担うべき仕事は何かという問いの裏返しでもある。
【神奈川新聞】