日産自動車は30日、「リーフ」に次ぐ電気自動車(EV)第2弾として、商用車「e-NV200」の国内販売をスタートし、横須賀市の追浜工場から出荷を始めた。走行ルートが一定の配送業務などでニーズが高いと想定しており、これを機にEV普及を加速させたい考えだ。
2010年以来、国内で4万5千台超を販売している乗用車リーフと同様に二酸化炭素排出がゼロで、電源供給できる「走る蓄電池」としての機能が売り。フル充電での航続距離は約190キロ、価格は388万~478万円で、日産の試算では走行距離が約8万キロを超えればガソリン車よりコスト削減になるという。
スペインの工場で生産し、追浜で最終検査をして出荷する。月500台の販売を目指しているが、発売前にすでに約500台を受注しているという。
受注先は企業や自治体などが6割強で、個人ユーザーもビジネス用途が大半。横須賀、厚木市をはじめ全国各地の自治体のほか、配送や物流業務の規模が巨大な日本郵便、日本通運、DHLジャパンなども導入を決めているという。
EVは航続距離が普及のネックになってきたものの、来春までに急速充電器が全国で約6千基に増えるなどの追い風もあり、徐々に解消に向かっている。追浜工場で開かれた出荷式で片桐隆夫副社長は「この車が日本中を走り回って新しい価値を提供し、ゼロエミッション(排出ゼロ)に寄与することを強く期待する。先駆者の自負の下、成功させたい」と強調した。
出荷式には、導入を決めている企業や自治体関係者も姿を見せた。公用車としてリーフ12台を所有する地元横須賀市はe-NV200を2台購入予定で、吉田雄人市長は「災害時の非常用電源として期待している。EVがあれば、災害時に明かりが取れたり携帯の充電ができたりと、市民のみなさんに喜んでいただける」と力説。日本郵便の荒若仁執行役員は「非常に使い勝手がいい車で、経済性の面も期待している。ますますの技術開発を望んでいる」と述べた。
また、離島を抱える鹿児島県薩摩川内市の久保信治新エネルギー対策課長は「地方ではガソリンスタンドがなくなってきている。山間部や離島などではEVが有効だ」と話していた。
【神奈川新聞】