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増税の夏集客好調も… 10%引き上げ懸念 神奈川県内の観光業界

経済 | 神奈川新聞 | 2014年8月31日(日) 10:00

Uターンラッシュで混雑する羽田空港に到着した家族=8月17日(共同)
Uターンラッシュで混雑する羽田空港に到着した家族=8月17日(共同)

消費増税後、初めての夏が終わろうとしている。景気回復の先行きを占うとして注目された今夏の消費動向だが、県内の観光業界はおおむね活況。29日発表の家計調査で消費支出の落ち込みが目立ったのとは対照的に、「増税の影響はあまり感じない」との声が相次いで聞かれる。ただ、安倍政権は税率8%から10%への引き上げを年内にも判断するとみられ、再び増税となった場合の消費マインドの冷え込みを懸念する声も上がっている。

増税に伴い4月に入場料の一部を改定した新江ノ島水族館(藤沢市)。夜の館内を映像で演出するプロジェクションマッピングが功を奏し、今夏の来場者は昨年と比べ約3~4割増えた。「昨年とは営業時間も違い単純比較できないが、若いカップルを中心に大勢の方に来場していただいた。増税の影響はない」。担当者は力を込める。

横浜・八景島シーパラダイス(横浜市金沢区)も、夏休みのイベント効果により、入館者数は29日時点で昨年比8%増という。

天候不順だった今夏。雨に振り回された施設もあった。ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル(同市西区)ではビアガーデンが伸び悩んだ結果、レストラン部門は昨年夏の実績に届かなかったという。一方で客室は高い稼働率を維持し、宿泊部門は昨年を上回った。「増税の影響は感じない」と話す担当者は「天候さえ良ければ…」と残念がる。4~6月は苦戦したという横浜ベイシェラトンホテル&タワーズ(同)も「8月はレストラン、宿泊とも前年を上回りそう」と回復の手応えをつかむ。

増税後とはいえ、消費者の観光や旅行への意欲は、大きく落ち込んでいない様子。JTBでは現在、天候不順により8月にキャンセルとなった国内旅行を、9月にずらして申し込む客が目立つという。

一方で、気掛かりなのは消費税が再び引き上げられるか。観光や旅行は、消費マインドによって大きく左右される。「10%になった場合、ツアーの販売状況に影響が出ないとは言い切れない」と近畿日本ツーリスト。JTBも「賃金やボーナスの上昇といった先行きの明るさが見えていれば良いのだが…。今後、景況感がどう変わっていくのか注目したい」と話す。

旅行業界にとって増税以外の、もう一つの懸念材料は都市部でのホテル不足。2020年の東京五輪開催に向け、訪日外国人客の増加が見込まれているが、都内では既に不足が指摘されている。「増税による価格改定に加え、ホテル不足によって今後、価格が上昇する可能性がある」(近畿日本ツーリスト)。業界にとっても、消費者にとっても、悩ましい状況が続きそうだ。

【神奈川新聞】

 
 

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