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【社説】再生医療 最先端の成果を患者へ

経済 | 神奈川新聞 | 2014年8月26日(火) 11:56

慶応大学の岡野栄之教授らの研究グループが、脊髄損傷を修復する臨床試験(治験)を開始した。

事故やスポーツなどで神経が傷つき、運動や感覚に障害が起きる脊髄損傷は年間約5千人が発症し、国内の患者数は約10万人に上ると言われる。脊髄など哺乳類の中枢神経は一度傷つくと再生せず、根治療法は今のところ見つかっていない。最先端の研究開発の成果を一日も早く患者の元へ届けてもらいたい。

今回の治験は特定のタンパク質を急性期の患者に投与するものだ。岡野教授らは並行し、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を活用した治療方法の開発も進めている。

発症間もない急性期に障害を軽減すれば、リハビリテーションによって効果的な機能回復が期待できよう。一方で、損傷から時間が経過した亜急性期、慢性期の患者に対しては、iPS細胞技術の応用が治療法開発の有力な手段になる。

これらの医療技術を組み合わせることで相乗効果が生じ、一人一人の症状に応じた根治療法の実現につながるのではないか。国を挙げて中長期的な展望に立った持続的な研究支援が求められよう。

研究グループが、治療効果や安全性を確かめるために使用した実験動物は、川崎臨海部・殿町3丁目地区の中核施設「実験動物中央研究所(実中研)」と共同開発した霊長類のマーモセットである。

これまでの実験で、神経細胞を保護し再生を促進する機能を持つタンパク質を投与し、運動機能の回復を確認した。人に近い霊長類を使った実験で効果を実証したことで、実用化を見据えた治験に道が開かれたといえよう。

特区の研究開発が具体化した成果として、岡野教授らの研究グループは、iPS細胞を活用したアルツハイマー病モデルをマーモセットに再現することにも世界で初めて成功している。発症メカニズムの解明や新薬の開発に役立てられ、根治療法の開発が一歩前進することになろう。

iPS細胞技術をめぐっては、目の難病患者の網膜を再生する臨床研究が始動しており、山中伸弥京都大iPS細胞研究所所長・教授が2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞して以降、実用化への歩みが着実に進んでいる。研究成果が東西の特区から世界に発信され、病気の克服に貢献するよう期待したい。

【神奈川新聞】

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