夏野菜の価格が高騰している。台風と長雨の影響により、主力産地の東北地方や栃木県、群馬県、長野県で出荷量が減り、品薄状態になっているのが原因だ。東京都中央卸売市場ではキュウリが平年の2倍以上になっている。消費者からは「価格を見ると買うのを悩んでしまう」との声が漏れ、小売りの現場は、値上げや小分け販売に踏み切っている。
全国の価格動向の指標となる東京都中央卸売市場では、7月に平年並みで推移していた長野県産の白菜の卸売価格が、8月上旬に平年比で3割高くなった。18日時点では1キログラム当たり136円と6割高。群馬県産と岩手県産のキャベツも1キログラム110円と平年より4割高い。
農林水産省によると、6月の長雨などで白菜やキャベツの生育が遅れた。7月下旬以降には少雨で出荷量が落ち込み、8月に入って卸売価格の上昇が目立ち始めた。
お盆に需要が高まるキュウリとナスも長雨の影響が出た。加えて一部の産地で台風による出荷の遅れや品質の劣化が重なり、品薄となった。東京都中央卸売市場の18日時点の卸売価格は、福島県などが産地のキュウリが1キログラム538円と平年の2倍以上。栃木県や群馬県が産地のナスも1キログラム381円と7割高くなった。
農水省の担当者は「天候が順調に推移すれば、8月下旬から9月上旬にかけて出荷量が回復し、価格も落ち着くのではないか」と話している。
小売り量販店では販売価格の値上げに踏み切る店も出始めた。東京都練馬区のスーパー「アキダイ関町本店」は、2週間前に税抜きで1本30円だったキュウリを65円に、ナスも1袋128円から180円に値上げした。
キュウリは1袋当たりの本数を8本程度から4~5本に減らし、価格を据え置いた。店を訪れた東京都練馬区の会社員(31)は「安い物を選ぶなど買い方を工夫するしかない」とため息交じりに話した。
野菜の価格は、東京都中央卸売市場の動向を、他の市場が参考にするケースがある。他市場が品薄のときは、東京向けの野菜が転送されて東京の価格が上昇することもあり、東京の価格が全国の指標とされている。
大阪の卸売市場でもキュウリやキャベツが値上がりしている。
【共同通信】