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旭区の町工場が「不可能」を修理 豪のパラトライアスロン選手救う

経済 | 神奈川新聞 | 2014年7月14日(月) 03:00

豪選手の競技用車いすを修理した長谷川秀夫さん=横浜市旭区都岡町の長谷川製作所
豪選手の競技用車いすを修理した長谷川秀夫さん=横浜市旭区都岡町の長谷川製作所

横浜港を望む舞台で5月に開かれた「2014世界トライアスロンシリーズ横浜大会」。32カ国から1492選手が参加し、盛況のうちに幕を閉じたその陰に、小さな町工場の活躍があった。横浜市旭区都岡町で長谷川製作所を経営する長谷川秀夫さん(55)。足に障害があるオーストラリアのニック・ビバリッジ選手の競技用車いすを大会直前に修理し、出場辞退の危機を救った。「何としても直してあげたかった」。油にまみれたその手には、世界に誇る日本の町工場の確かな技術が染みこんでいた。

「オーストラリア選手の競技用車いすが壊れてしまった。どうにかならないか」-。長男(28)を通じて緊迫した様子で大会関係者から連絡が入ったのは大会2日前の15日午後10時ごろ。「大会メカニックに頼んだが『修理不可能』と言われた。県外の競技用車いすメーカーにも『直せるかどうかわからない』と言われた。時間もない」。事情を聴いた長谷川さんは、すぐさま電話口で告げた。「分かった。とりあえず持って来て」

長谷川さんの長男も、国内外で活躍してきた元トライアスリートで、長く支えてきた。それだけに、大会に出られなくなり、積み上げてきた実績が全て無駄になってしまうかもしれない選手の苦境は、到底見過ごせなかった。

翌日、朝一番で持ち込まれた車いすを見て長谷川さんは絶句した。「こんなにひどいとは…」。飛行機で運搬中に破損したのか、車体はひしゃげ、パーツの一部は折れてしまっていた。

「絶対にレース当日だけでも動けるように直す」。日々、機械部品の製作に携わる長谷川さんだが、競技用車いすは修理はもちろん、触ることすら初めての経験。過去に自転車部品を作った知識や培ってきた技術を総動員し、ひずみを矯正して溶接する作業を延々と繰り返した。

作業が完了したのは約6時間後。「今思えば一から作った方が早かったかも」。ビバリッジ選手は松葉づえを突きながら油まみれの長谷川さんの手を握り、感謝の言葉を繰り返したという。

一夜明けた大会当日。パラトライアスロンの部に出場したビバリッジ選手は、見事5位で完走。工場で連絡を受けた長谷川さんは「本当に良かった」と胸をなで下ろしたという。

大会終了から約1カ月後。オーストラリアチームのマネジャーから一通のメールが大会組織委員会に届いた。「長時間かけて修理してくださったおかげでレースに出ることができた。来年もぜひ、横浜大会に出場したい」

あらためて感謝の気持ちを伝えられた長谷川さんは、来年の大会には足を運ぶつもりだ。「応援に行かなきゃね」。町工場の“鉄人”は照れくさそうにほほ笑んだ。

【神奈川新聞】


2014世界トライアスロンシリーズ横浜大会パラトライアスロンの部に出場、5位で完走したビバリッジ選手=大会組織委員会提供(Satoshi Takasaki/JTU)
2014世界トライアスロンシリーズ横浜大会パラトライアスロンの部に出場、5位で完走したビバリッジ選手=大会組織委員会提供(Satoshi Takasaki/JTU)

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