小田原の地元漁港で水揚げされた魚の消費拡大を図るとともに、地魚をブランド化させる取り組みが加速している。地魚を扱う店の登録制度やロゴマークの作成準備を既にスタート。今月からは、水揚げされても利用されることの少ない地魚を使った加工品ブランドの募集を始めるなど、次々と事業を展開している。
小田原市水産海浜課によると、小田原漁港での地魚の水揚げ量は年間2117トン(2012年度)。かまぼこや干物など水産加工品づくりが盛んだが、最近は市民の地魚に対する認知度が低く、「魚離れ」も起きているという。これらの対策を地域経済の活性化につなげようと、市や漁業協同組合、市場関係者、商工会議所などが昨年7月、「小田原の魚ブランド化・消費拡大推進協議会」を設立した。
今年3月から地魚を扱う鮮魚販売店や飲食店、宿泊施設などを「小田原の地魚愛用店」として登録してPRする制度をスタート。これまでに市外を含め31店舗が登録している。また、ブランド化の取り組みを周知するためのロゴマークとキャッチコピーも募集し、今月中に決定する予定だ。
さらに、ゴマサバやカマスなど水揚げされても利用されないことが多い地魚に着目。水産加工・食品加工業者を対象に、短時間で調理できて手軽に食べられる商品を今月6日から募集。新たな地魚加工品ブランドを立ち上げる。
今後は、地魚に関する知識を問う検定を創設するなどして小田原の魚の価値を広く伝える「小田原魚伝道師」を育成するほか、地域のコミュニティー放送「FMおだわら」や市民と協力し、イベントなどで小田原の魚などをPRする「おさかな応援隊」(仮称)も発足させる計画だ。
同課は「おいしい地魚をもっと身近に感じてもらうために、知って、買って、食べてほしい。地元周辺の漁港では約160種類の魚が水揚げされるが、今まで目が向けられてこなかった魚の需要も掘り起こして水産業を底上げしたい」と話している。
【神奈川新聞】