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【社説】生産年齢人口の減少 働き手を呼び起こそう

経済 | 神奈川新聞 | 2014年5月8日(木) 10:56

日本経済や社会保障制度を揺るがす、さらに深刻な問題が明らかとなった。働き手の減少だ。

対策を講じずに放置すれば税収が激減し、ますます出口の見えないトンネルに陥りかねない。政府は女性やシニア世代の力を生かす施策を模索し始めたが、社会意識そのものを変える抜本策が必要だ。

総務省の人口推計によると、15~64歳の「生産年齢人口」が32年ぶりに8千万人を割り込んだ(2013年10月1日時点)。

一方で、65歳以上の割合は25・1%に達し、3189万8千人となった。団塊の世代が加わり、4人に1人が高齢者という時代が到来したことになる。

14歳以下の年少人口は12・9%と過去最低を更新。次世代の負担は、さらに重くなっていく。財務省の試算では、12年は高齢者1人を支える現役世代が2・4人だったが、50年には1・2人となる。

現在進められている子育て支援制度だけでは歯止めにならない。いわば「生産年齢人口を拡大する」方策も検討に値するだろう。

平均寿命が延び、心身ともに活力を失わない高齢者が増えている。培ったノウハウや人脈を生かし、定年退職後に起業を試みる人たちも少なくない。65歳以上を「退役世代」とする見方を改め、企業や社会事業における貴重な戦力として迎える必要がある。

また、働く意志を持ちながらも行き場を失っている女性たちが依然として多いはずである。育児と仕事が両立できるような支援体制が求められよう。

大切なのは、高齢者や女性たちが意欲的に働ける環境づくりだ。キャリアを磨く機会にも恵まれず、低賃金にあえぐような職場ではなく、能力や成果に応じて高収入や幹部への昇進も期待できる会社を増やしたい。もちろん、傑出した技術や知識がない人でも安定した生活が得られることが肝要だ。

経営陣が利益のみを追い求め、若者を使い捨てにする劣悪な会社が増えた。仕事の掛け持ちで疲れ果てるシングルマザーも少なくない。

人材を育成することもなく、疲弊させるような社会に発展の可能性はない。少子高齢化対策とともに、働き手を増やし、生かせる仕組みづくりこそが本物の成長戦略といえるのではないか。

【神奈川新聞】

 
 

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