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【社説】経済の好循環 中小と非正規の改善を

経済 | 神奈川新聞 | 2014年3月20日(木) 11:00

消費税増税が4月に迫った。

2014年春闘では自動車や電機大手が6年ぶりのベースアップ(ベア)に踏み切り、消費者心理の悪化を抑えるアベノミクス効果は一定の役割を果たしたと言える。

しかし、賃上げの「風」は中小企業や非正規労働者にまでは届いていない。日本経済を下支えする人たちの待遇改善が、デフレ脱却の鍵を握る。新たな才能を育て、生かせる環境づくりに政府、企業が協力して着手してもらいたい。

これまでの春闘では、賃金の土台を引き上げるベアを敬遠する企業が多かった。ことしは法人税減税などを引き合いに、政府が「好循環に協力してくれないなら何らかの対応はある」などと迫った。政府主導による異例のベア復活だ。労使交渉の成果というより官の圧力による賃上げという印象が拭えない。

民間調査では増税後、家計の支出を減らすという人が7割を超えている。テレビなどの駆け込み購入が好調なだけに、むしろ不安だ。物価は上昇傾向にあり、節約志向が強まれば景気が一気に冷え込むことにもなりかねない。岐路を乗り越えるために安倍政権が執拗(しつよう)に賃上げを要求したのも当然だった。

だが、今回の成果だけで経済基盤を確かなものにできるとは到底言い難い。来年以降も持続的に給与を引き上げ、消費意欲を高めていく取り組みが求められる。

また、今や働く人の40%近くに達している非正規労働者の生活をいかに保障していくかが、見過ごせない課題になっている。

正社員に匹敵する技能や経験を持ち、重要な仕事をこなしている人も少なくない。非正規雇用の人材を抜きに成り立たない会社も多く、社会を支える貴重な労働力と位置づけるべきである。

ところが、賃上げの機運から「蚊帳の外」に置かれたままというのが現状だ。企業は経営圧迫を懸念し、及び腰と言わざるを得ない。

安心して子どもを産み育てられる生活基盤を担保しなければ、好循環は実現できない。そのためには、新規事業の展開を促す税制の導入や、人材が移動しやすい労働市場づくりなどの新たな試みを求めたい。

才能や意欲がありながら格差の下部で苦しむ人たちを生かす努力が、社会全体の底上げにつながることは間違いない。

【神奈川新聞】

 
 

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