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識者に教わる「確定拠出年金」運用のコツ&注意点

経済 | 神奈川新聞 | 2016年11月17日(木) 12:00

識者に教わる「確定拠出年金」運用のコツ&注意点(写真:女性自身)
識者に教わる「確定拠出年金」運用のコツ&注意点(写真:女性自身)

 度重なる制度改正が行われている公的年金。庶民にとっては、将来の年金が減らされる“不安”が募るばかり。また、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が運用する137兆円もの年金資金が、株価暴落によってピーク時より直近1年で10兆円も目減りしていることもわかった。また、年金と同様に、サラリーマンの老後資金の柱となる「退職金」も減額される傾向にあるという。

 「公的年金や退職金の減額が確実視されているなか、早急に“老後の準備”をする必要が出てきました。そこでぜひ、考慮しておきたいのが、公的年金に上乗せする形で老後資産を積み立てられる確定拠出年金(DC)です。税制面でも非常に優遇されており、“ほぼ確実に得をする私的年金”と考えています」

 そう力説するのは、『ズボラな人のための確定拠出年金入門』(プレジデント社)の著者で、社会保険労務士の井戸美枝さんだ。通常、NISA(少額投資非課税制度)口座での取引を除いた、一般的な投資信託や株式投資では、運用益に20%もの税金がかかる(復興税は除く。以下同)。ところが、DCで得た利益は、そのまま年金として受け取れるのだ。利率3%で月2万円ずつ10年間支払い続けた場合を井戸さんが算出した。

 「総支払い額240万円に対してリターンは279万円。39万円の利益となります。これがDCであれば運用益が非課税となり、約39万円を得られる可能性もある。一方で、まったく同じ利率の投資信託の商品場合は、運用益の20%、約8万円の税金が引かれてしまうのです」(井戸さん)

 “ほぼ確実に得をする私的年金”というDC。その運用のコツ&注意点を、井戸さん、『人生を左右するお金のカベ」(日本経済新聞出版社)著者で社会保険労務士の北村庄吾さん、あおい社会保険労務士事務所の筒木葵さんの3人が解説してくれた。

 「ほとんどの金融機関では、加入手数料として初回のみ2,777円かかります。注目してほしいのは、口座管理手数料です。ネット系金融機関は安い(条件により167円〜)ですが、地銀は高い傾向にあり、年間で6,000〜7,000円近くになることも」(北村さん)

 とくに楽天証券やSBI証券は資産高に応じて口座管理手数料が無料となる。

 「最初にできる限りの掛金を投入して、手数料を無料化することが大事。支払い期間が10年、20年になることを考えれば、年間の手数料はバカになりません」(北村さん)

 また、金融機関によって取扱い商品数が異なる場合も。

 「購入先を選ぶ前に必ず、国内株式、海外株式、国内債券、海外債券のインデックスファンド、バランス型ファンドを扱っていることを確認しておきましょう」(井戸さん)

 通常の株式投資や投資信託と違い、DCは60歳になるまでお金を引き出せない。

 「老後の資金を貯めておくのが目的ですから、“無駄遣いできない”とメリットと捉えましょう」(筒木さん)

 仮に掛金を支払えない期間があっても、将来もらえる年金額から、支払えなかった月分が差し引かれるだけ。だから、掛金はできるだけ多いほうがよい。

 「2018年からは『年単位』の計算となります。たとえ数カ月支払いが滞ったとしても、1年以内に足りない分を払えば、掛金の上限を満たすことが可能です」(井戸さん)

 基本的に支払い期間は10年以上で60歳まで。受給開始は60歳からだが、50歳以上であっても諦めなくていい、と井戸さんは言う。

 「10年の加入期間に満たない場合は、受給開始年齢を繰り下げて受給できるシステムがあります。たとえば加入期間が6年以上8年未満の場合は62歳が受給開始年齢です。つまり、54歳で加入したとしても、60歳までに6年掛金を支払えば、62歳から受給できます」(井戸さん)

 たとえ死亡した場合であっても、死亡一時金として受け取れる。

 「ただし家族が申請しなければなりません。加入者の死後3年以内に請求すれば相続資産として受け取れ、3〜5年では一時所得として受け取れます。よほどの資産がない限り、相続資産としたほうが、節税効果があります。死亡から5年以上たつと無効になりますので家族には知らせておくべきでしょう」(筒木さん)

 勤め先を転職、離職した場合も注意が必要だ。

 「加入資格喪失から6カ月以内に手続きをします。それを過ぎると、年金資産が現金化され、国民年金基金連合会に“自動移管”。運用されないまま年間手数料だけが引かれていくことになります」

 DCは“老後は自分で守る”という意識を養う、よい機会になるかもしれない。【女性自身】

「カナロコ」は、読者に幅広いコンテンツを提供するため女性週刊誌「女性自身」との提携を開始しました。女性誌の視点からみた政治や経済。関心が高い教育、そしてグルメ、芸能まで多岐にわたり情報を配信していきます。
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