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猿島ワカメ普及へ、漁師らが結束/三浦

経済 | 神奈川新聞 | 2014年1月9日(木) 22:39

新芽の早採りワカメ「さるひめ」を手にする漁師=横須賀市猿島の猿島近海
新芽の早採りワカメ「さるひめ」を手にする漁師=横須賀市猿島の猿島近海

横須賀市内の事業者と漁師が結束し、新たな名産づくりに取り組んでいる。東京湾唯一の無人島「猿島」近海で収穫した新芽の早採りワカメを「さるひめ」と名付け、普及による地域経済の活性化を目的とするプロジェクトが加速している。

一昨年のこと。発起人の一人で、飲食店「大黒堂」(同市上町)店主の大湊雄治さんは、東部漁協横須賀支所に所属する友人の漁師から早採りワカメのおいしさと、生産者の窮状を聞かされた。

猿島周辺の海域では50年前からワカメの養殖が続いてきた。東京湾内でも比較的潮の流れが速いため、身は柔らかく香り高い。しかし、ワカメ漁は生産量は確保できるが、単価が安い。さらに成長すると重くなるため、収穫は重労働だ。後継者は目減りする一方だった。

「このまま途絶えさせてはならない」。猿島公園を市から委託管理し、「軍港めぐり」などを運営する「トライアングル」(同市小川町)の鈴木隆裕専務と、飲食店を経営する「たのし屋本舗」(同市追浜町)の下澤敏也代表取締役が協力を名乗り出た。2012年2月、猿島ワカメをブランド化する「猿島海畑活性化研究会」を発足した。

大湊さんら3人は共同出資して、猿島近海に60メートル四方の専用イカダを設置。13年度は100万円で種付けから収穫までの管理を地元の若手漁師らに委託した。「この保証金で(漁師との)距離がぎゅっと縮まった」と鈴木専務。大湊さんは「生産量が増え、若い漁師さんも稼げるようになれば面白い」と期待する。漁師にとってはリスクを抑えられ、事業者は売り上げ増で相互利益につながる。

2月末までの早採りワカメは茎まで食べられる柔らかさ。湯にくぐらせると、黒から鮮やかな緑に変色し、目にも楽しい。昨年から自分たちの飲食店などで提供しており好評だ。今月28日にはさいか屋横須賀店の朝市で試食販売される。さらに横浜市内の5、6店から取り扱いの打診があるという。

何よりの“収穫”は、スタート3年目で「自分もやってみたい」という漁師が出始めたこと。「それぞれの立場で一緒にやることが大事」と鈴木専務はうなずく。卸業も手掛ける下澤代表取締役は「横須賀、三浦半島のいいものを発信して、地域に貢献したい」と思いを込める。今後は一年を通して食べられるよう、加工食品の商品化も視野に入れている。

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