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塩害逆手に羊肉生産、南三陸でブランド作り/川崎

経済 | 神奈川新聞 | 2014年1月1日(水) 18:41

宮城県南三陸町の牧場開設予定地と「さとうみファーム」の金藤克也さん(金藤さん提供)
宮城県南三陸町の牧場開設予定地と「さとうみファーム」の金藤克也さん(金藤さん提供)

東日本大震災で大津波に襲われた宮城県南三陸町で、塩害を逆手に取った羊肉生産プロジェクトが動き始めた。耕作放棄地に牧場を開設し、塩害に強い草を栽培。同町特産のワカメと共に飼育するヒツジに与えることで、ミネラル分を多く含んだ羊肉として出荷する。将来的にはブランド化を図り、被災者の雇用創出や地域経済の復興へ結びつけるつもりだ。

計画を手掛けるのは、川崎市麻生区の一般社団法人「さとうみファーム」。海岸線から200メートルほど離れた約1200平方メートルの土地で牧場の開設準備を進めており、昨年12月下旬にはヒツジも搬入した。

代表理事の金藤克也さん(48)は震災直後から同町を訪問。これまでに子どもの遊び場整備や漁業復興などの支援に尽力してきたが、塩害や人口流出で増える耕作放棄地に心を痛めていた。

そんな折、精肉店を営む知人から聞いた話が「ソルトブッシュ」だった。塩分濃度の高い土地でも育つ草で、オーストラリアではソルトブッシュを食べさせたヒツジが高級ラムとして人気があることも知った。

また、海外でヒツジに海藻を食べさせている例もあることから、同町特産のワカメにも着目した。通常は捨てられる茎の部分を譲り受け、ソルトブッシュや牧草などと混ぜて発酵飼料を製造。ヒツジに与えることで、ご当地色の濃い羊肉とするプランを立てた。

2013年春には同県大郷町の牧場から生まれたばかりのヒツジ25頭を入手。宮城大学の協力でソルトブッシュの栽培実験も開始した。牧場の開設場所は地元の地権者から無償で借り、町農業委員会の許可も得て、いよいよ開設準備が整った。

牧場の開業は14年春の見込み。羊肉の安定供給が可能になるまでには「何年もかかるだろう」と金藤さんは語るが、将来的には「南三(なんさん)羊肉」としてブランド化し、(1)精肉としての出荷(2)牧場でのバーベキュー(3)飲食店への提供-などで利益を上げることを目指す。

「1回限りのイベントではなく、地域の自立につながる継続的な支援がしたかった」と金藤さん。「軌道に乗れば、地元の人の雇用にもつながり、収益を使ってさらに新たな事業も展開できる。最終的には仙台市から車で2時間の立地を生かし、観光牧場としてやっていきたい」としている。

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