三浦市と京浜急行電鉄が台湾からのインバウンド(訪日旅行客)獲得に注力している。1~10月の訪日旅行者累計が過去最多の約866万人を達成。親日家の多い台湾の訪日旅行需要も拡大傾向にあるなど“追い風”が吹く中、まずは三浦市の認知度を高めようと、現地旅行会社へのセールスを展開。例年2月に満開を迎える河津桜見物とイチゴ狩りが楽しめるツアーを売り込んでいる。両者は「今後も旅行者のニーズに対応した商品を作り、地元の経済活性化につなげたい」としている。
三浦市内で唯一、鉄道路線を持つ京急電鉄。昨年9月からグループ戦略室に専任の社員を配置するなど、インバウンドの獲得に力を注ぐ。
両者は今年に入り3、7、10月の計3回、台湾へのセールス活動を実施。羽田空港からのアクセスの良さ、豊かな自然、マグロをはじめとする食を強みとする三浦だが、「台湾での認知度は低い。まずは、知ってもらうことから始めた」と同市営業開発課。
10月のセールス時には台北、台中、高雄の旅行会社計15社を訪問。三浦海岸の「河津桜まつり」期間に合わせて、イチゴ狩りや横須賀の軍港クルーズなどを盛り込んだ日帰り、宿泊双方のプランをアピールしてきた。初めて訪れる人でも安心して参加できるよう、ガイド付き、バスでの移動とした。
現地旅行会社の反応は上々というが、両者は、具体的な成果が出るには時間がかかる、との認識で一致している。
一方で、「リピーターが多いとされる台湾からの旅行者の間でも、三浦はまだ行ったことがない、という人は多いはずであり、狙い目」と同市。京急の担当者も「グループの持つノウハウや情報、ネットワークを生かし誘客につなげたい」と意気込む。
2020年の東京五輪・パラリンピック開催が決まり、今後、東京への外国人旅行者が増え、神奈川にとっても大きな商機とされている。同課の大澤克也課長は「多言語による案内表示など、市内でのハード整備はまだ十分とはいえない。(三浦への)旅行マーケットの拡大に合わせて、旅行者のニーズや課題に対応したい」と話している。
日本政府観光局(JNTO)によると、1~10月の台湾からの訪日旅行者数は計約188万人。国・地域別では、韓国に次ぐ規模となっている。
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