県内のホテルや百貨店業界は早くも、年末年始商戦に向けて動きだしている。足元ではアベノミクスの効果などにより、高額商品が好調に推移。さらに、2020年の東京五輪開催決定を受け、消費者に先行き期待感が広がっているとして、両業界とも今年の商戦に大きな期待を寄せる。来年4月からの消費増税を前にした駆け込み需要も予想され、今冬の商戦は例年以上に熱を帯びそうだ。
「高級腕時計は昨年までは50万円台が売れ筋だったが、今年は100万円台もよく売れている。ランドセルも客単価が上昇。6万~8万円台が人気を集め、6月の受注開始から9月中旬までの売り上げは前年比90%増」と話すのは、そごう横浜店(横浜市西区)だ。輸入ブランドの売り場ではフランス製の18万円のダウンジャケットが売れ筋といい、「東京での五輪開催決定などを受け、消費者の中に、少し明るさが見えてきたのかも」と担当者。京急百貨店(同市港南区)の上野賢了社長は「クリスマスケーキやおせちは、いつもよりもワンランク上の物を求める傾向が強まりそう」と話す。
横浜高島屋(同市西区)は2日、おせち料理の予約を開始。開店時には80人ほどの行列ができ、10万円前後の有名料亭のおせちが次々に売れ、中にはすぐに完売となる商品も。山下恭史店長は増税後、一時的な消費の落ち込みが予想されるとした上で「それまでに、いかに多くの(店の)ファンをつくるかが大事」と気を引き締める。
ホテル業界も活況だ。「レストランでは5万円のコースの注文が予約なしで入ったりする。アベノミクスの効果なのか、単価の高い商品の動きは良い」と横浜ベイシェラトンホテル&タワーズ(同)。3万6千円のクリスマスディナーコンサートの座席も「既に残り半分」といい、手応えをつかむ。最近の消費者の動向を「多少、値段が高くても価値があると判断した物には、お金を惜しまない様子」と分析する。
「増税を前に、少しぜいたくな雰囲気を楽しみたい、という人たちのニーズにしっかりと応えたい」と、駆け込み需要の取り込みを意識しながらセールスに注力する考えだ。
東急東横線・東京メトロ副都心線の相互直通運転などの影響で、宿泊やレストランの好調が続くという横浜ベイホテル東急(同)。「ワンダーランド」をテーマにした今年のクリスマス商戦も「今の好調を維持したい」と意気込んでいる。
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