三浦市三崎のマグロ問屋「西松」が、地元で水揚げされたメバチマグロを生かした加工品「まぐろフレッシュハム」を開発した。東南アジアなど生魚を食べる習慣の少ない海外でも、三崎のマグロを浸透させるために薫製にした。同社の事業計画が国の支援制度にも認められ、来春の商品化を目指す。同社は「すし、刺し身以外のマグロの食べ方を知ってほしい」と話している。
ハム開発のきっかけは、東南アジアでの商談会に参加したことだった。
同社はジェトロ横浜の支援を受け、3年ほど前から販路拡大のためにタイやマレーシアなど東南アジアにマグロを輸出している。現地での商談会などで、生魚の需要が限定的なことを知った。
「より多くの人に三崎の特産品を受け入れられるような形にしたいと考えた」と相原宏介専務(46)。食材をいぶすことで保存性を高める薫製品にすることを思い立った。
平塚の業者から技術を教わり、1年ほど前から開発に着手。メバチマグロの身をサクラ材のチップの煙でいぶし、もちもちとした食感に仕上げた。
市内の飲食店に協力してもらい、ハムを挟んだベーグルなどを販売したところ好評。タイの飲食店やホテルからも販売を希望する声が届き、自信を持った。
当面は飲食店への提供をメインにする予定で、今は商品化に向け、保存状態や形態といった販売方法に頭を悩ませている段階だ。
「刺し身でもハムでもない、今までに経験したことのない味。ワインにも合う」と出来栄えに胸を張る相原専務。「三崎マグロを世界に広め、地域活性化につなげていきたい」と意気込んでいる。
同社の「地域産業資源活用事業計画」は県を通じて国に申請され、認定された。県内では同社で26件目を数える。