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長期熟成で魚の“うまみ”抽出 川崎の企業が特殊シートを共同開発

経済 | 神奈川新聞 | 2018年11月16日(金) 02:00

発酵熟成熟鮮魚の加工過程をデモンストレーションする市場関係者。左はミートエポックの跡部美樹雄社長=川崎市宮前区の市北部市場
発酵熟成熟鮮魚の加工過程をデモンストレーションする市場関係者。左はミートエポックの跡部美樹雄社長=川崎市宮前区の市北部市場

 川崎市内の企業が共同開発した新商品「発酵熟成熟鮮魚」のお披露目会が15日、市北部市場(宮前区)で開かれた。特殊なシートを使って新鮮な魚を発酵熟成する新技術で、うまみを引き出すことに成功。同市場のほか、川崎、横浜、豊洲のすし店や通販サイトで同日から販売が始まった。同市場の関係者は「付加価値のある商品として魚市場の活性化につなげたい」と期待を込める。

 共同開発したのは、多摩区のベンチャー企業ミートエポック(跡部美樹雄社長)と川崎北部市場水産仲卸協同組合(種村誠二理事長)。

 同社は明治大学農学部(多摩区)とともに熟成肉の共同研究を行い、肉の熟成に利用できる人体に無害な菌を布に付着させたエイジングシートを開発。技術の多方面への応用を考えていた同社と、水産物販売の活性化を図るため新ブランドを模索していた同組合を市が仲介し、今年4月から事業化を進めてきた。

 魚は通常、1週間ほどで腐敗が始まるが、エイジングシートで魚を包むことで、約20~25日間の長期熟成が可能になり、うまみと独特の食感が引き出される。長期熟成にもかかわらず、新鮮さが保たれるのも特徴で、臭みが消えてミルクやナッツに似た独特な香りも楽しめるという。

 種村理事長は「魚の熟成が成功するか試行錯誤だった。熟成期間を少しずつ延ばし、試食を半年間繰り返した結果、20日ほどの熟成が最適だと分かった」と話す。跡部社長も「甘味が口いっぱいに広がる。新たなブランドとして市場を盛り上げる一助になれば」と期待を込める。

 新ブランド「発酵熟成熟鮮魚」は商標出願中。当面はマグロ、メカジキ、銀ダラを加工し、徐々に熟成に適した魚を増やしていく。冷凍も可能で今後は海外への展開も視野に入れる。

 お披露目会には福田紀彦市長も出席。「しっとりしていておいしい。熟(な)れていますね」と舌鼓を打った。

 15日からは、チェーンすし店「魚がし日本一」の3店舗(川崎市川崎区、横浜市西区、東京都豊洲)で販売を開始。市北部市場内のすし店、通販サイトでも取り扱っている。

 
 

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