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神奈川工業技術開発大賞(3)「UVインキ」に対応

経済 | 神奈川新聞 | 2018年11月7日(水) 11:05

UVインキが入ったドラム缶に設置した専用の新型ポンプ 
UVインキが入ったドラム缶に設置した専用の新型ポンプ 

 さまざまなポンプの開発から組み立て、施工までを行っているケイ・ジー・ケイ(相模原市中央区)。印刷用のインキをはじめ、工業用のグリース、接着剤や各種塗料など、高粘度材料を送り出すポンプを得意としている。

 今回ビジネス賞を受賞したのは、速乾性で環境に優しいため需要が広がっている、紫外線で硬化する「UVインキ」を印刷機に送る「オフセット印刷用紫外線硬化インキ圧送ポンプ」。

 UVインキは従来の油性インキのように酸化による自然乾燥や熱乾燥の手間がいらないため、ここ10年で一気に普及が進んだ。

 同社では6年ほど前にUVインキ専用のポンプを発売したが、内部の機構部品が動かなくなるなどの不具合が続発。原因はUVインキの性質によるものだった。

 UVインキは物理的な刺激に対しても硬化感度が高いため、ポンプ内部で擦れるような力が強く加わると固まってしまう。固まったインキがポンプの部品に付着して動きを妨げたり、反応でできた固形粒子が印刷機まで運ばれ、印面を汚したりキズを付けたりしてしまっていたのだ。

 そこで同社では、初代のUVインキ用ポンプの販売を中止し、新たな商品開発に取り掛かった。インキがこすれる力を弱め、内部で硬化を起こさない機構について研究を重ね、新型機を試作。初代のポンプを使用していた顧客の元を訪ねて新型機と交換し、数十台を実際に使ってもらった。

 その結果、初代ポンプや他社製品では数カ月ごとに故障していたものが、1年以上も硬化問題が起こらず使えると検証できたため、2017年に正式に販売を開始。現在まで2年半以上トラブルが起きておらず、全国の印刷工場から注文が殺到しているという。

 同社の特徴は、設置工事からメンテナンスまで一貫して自社で行っていること。全国各地に社員が出向き、丁寧な施工を行っている。「ポンプは印刷のための脇役だが、良き相棒という意味で“FineSide”という商品名にした」と技術部マネージャーの横井領さんは語る。

 顧客の要望に真摯(しんし)に応えていきたい、と話す西村果佳枝社長は「今後、電気自動車の製造が本格的に始まれば、そのための接着剤など、新たな需要が出てくる。これまでと違う流体材料の登場はわれわれにとってビジネスチャンス。生みの苦しみはあるが、地道な努力を重ねていきたい」と今後の展望について語った。

ケイ・ジー・ケイ 1967年設立。資本金4千万円。空気駆動ポンプ、流体制御機器の設計・製作、インキ供給システムの設計、製作、施工。従業員38人。相模原市中央区南橋本。

 
 

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