鉄道会社のホテル事業で、新ブランドの展開が相次ぐ。「快適に宿泊したい」「リーズナブルでも安心して泊まりたい」-。訪日外国人客(インバウンド)など宿泊需要が増す中、さまざまな顧客のニーズに応えようとしている。
京急グループでビジネスホテルをチェーン展開する京急イーエックスイン(東京都)は、従来の宿泊特化型よりワンランク上の新ブランド「京急EXホテル」を10月から展開した。
同社では2007年から、ビジネスホテル「京急EXイン」の事業を開始。出張などビジネス客をターゲットにしてきた。しかし近年、訪日外国人客や女性グループ、家族連れなど客層が多様化していることから、幅広いニーズを取り入れるために新たなブランドを展開した。
今年9月末時点で13館あったうち、「京急EXイン品川駅前」と「京急EXイン高輪」の名称を「京急EXホテル品川」「京急EXホテル高輪」に変更。ロビーの改装などグレードを上げたり、サービスの拡充を進めたりしている。
同グループは「羽田空港や品川駅前は、海外からの顧客を迎えられる。宿泊需要を取り込んでいきたい」と話している。
一方、相鉄グループの相鉄ホテルマネジメントは、新たな宿泊特化型のホテルの展開を始める。10月15日に、京都市内に新しいブランドのホテル「THE POCKET HOTEL 京都四条烏丸」をオープンした。
宿泊特化型で、快適さと機能性の両立を目指す。147室あり、客室タイプはシングルや2段ベッドなど5種類。広さは約5~9平方メートル。チェックインやチェックアウトは、ロビーにある端末で、客自身が手続きをする。客室には、タブレット端末を配備。共有のコインランドリーやシャワールーム、トイレの利用状況を確認したり、客室内の空調や照明の操作ができる。女性限定のフロアも用意した。
9月末には、一般客を対象とした試泊会を開催。旅行でビジネスホテルによく泊まるという会社員の女性(23)は、「カプセルホテルは女性だけで宿泊するのは少し怖いが、このホテルは安心して泊まれた」と満足そうに語った。