日産自動車(横浜市西区)とフランス自動車大手ルノーの企業連合「ルノー・日産アライアンス」は25日、ネットワークとつながるクルマ「コネクテッドカー」向けのソフトウエア開発強化のため、日仏に新拠点を構え、開発チームを最大で約千人規模に拡大すると発表した。同アライアンスSVPのオギ・レドジク氏が同日に日産本社で開いた会見で公表。自動運転など次世代技術への転換や普及を見越し、競争力確保に力を入れていく考えだ。
2020年までに日本や米国、欧州、中国の各市場で、10モデル以上に自動運転技術を搭載する計画を明らかにしている同アライアンス。レドジク氏は会見で「これからはクルマと共にどんなサービスを提供できるかが重要になる。自動運転とコネクテッドカー技術を組み合わせることでさらによいモビリティー(移動)サービスを提供していける」とソフト開発の意義を強調。
組織強化策として日産、ルノーに各約300人が所属する既存の開発チームに加え、ソフト開発やクラウドエンジニアリング、データ分析など各分野の専門技術者計300人ほどの新たな採用を開始したことを公表。アライアンス全体で900~千人規模の体制となる見通し。国内は東京都目黒区の中目黒地区、フランスはパリ近辺に新たなオフィスを構えるという。
また同アライアンスはいずれも今秋、フランスのソフトウエア開発会社「シルフェオ」の買収や米マイクロソフトとコネクテッドカー開発で提携を実現。これらの取り組みにも言及し、「自力のみに頼る開発ではやっていけないし、合理性もない。正しいパートナーと組めばずっと良い結果になる」「いろんなパートナーと(協力の)議論をしていきたい」と外部とのさらなる連係を示唆した。
開発の効率性などの観点から「高いセキュリティーを実現しないといけないが、ソフトウエア自体は高級車や低価格車を問わずに単一共通のプラットフォーム(基盤)をつくり上げていく」とレドジク氏。
コネクテッドカーで実現可能性がある事例として、クルマ移動も含む高度なドア・ツー・ドアの経路案内や、より手軽なカーシェアリングサービスの提供、ドライバーの走り方に応じた最適な保険の提案-などを紹介した。