綾瀬市落合南の菓子店「おやつ工房麻の葉」が、地元の食材をふんだんに使ったメンチカツを考案し、売り出している。その名も「浪乗(なみのり)めんち」。市内の石仏を題材にした。「史跡や農産物など市にある良いものに気付いてほしい」。そんな思いを肉汁とともに閉じ込めた一品だ。
浪乗めんちは、高座豚や卵、塩こうじなど同市吉岡地区の食材を使用。油が酸化し臭みが出るメンチの弱点を克服しようと、吸油率の低いパン粉を用いている。肉が硬くなるのを防ぐためにメレンゲを加えているのも特徴だ。
まんじゅう型で、ひき肉に包まれたチーズがとろける様子を波のうねりに見立てて命名した。
常連客の女性(52)は「サクッとした食感」と評価。同店を営む石井麻理さん(47)は、店で扱うまんじゅうを例に「包む技術を駆使している」と説明する。
同様の作り方で、あんにそれぞれ市内産の朝採りトウモロコシ、トマト、枝豆、ナスを使ったメンチもそろえ、旬の地場産品をPRする。
同工房は2016年に市内の神崎遺跡をモチーフにしたクッキーを手掛けており、今回、住民がかつて雨乞いのために市内を流れる目久尻川に入水させたと伝えられる吉岡地区の石仏「浪乗不動」に焦点を当てた。「生活との関わりを持つ石仏をもっと知ってほしかった」
4月に販売を始め、土・日曜日には市外にキッチンカーを走らせる。遠方では、静岡県を訪れた。
原動力は綾瀬市への愛着だ。石井さんは8年ほど前に川崎市から家族で転居。12年に夫の弘光さん(52)と共に同店をオープンさせた。「当初は綾瀬について何も知らなかった」。生活を送る中で農産物の質の高さ、名所旧跡などに魅力を感じるようになった。15年ごろからは史跡ガイドボランティアを務めるほどだ。
現在、市商工会女性部で農工商業品のブランド化を進める推進委員会の委員長を務め、浪乗めんちはブランド認定第1号となった。石井さんは「まずは1年間販売して、今後も歴史に絡めた商品を売り出していきたい」と意欲を燃やす。
浪乗めんちは1個150円、3個入り400円。毎週火・木曜は同工房、水・金曜は、ハンディホームセンター綾瀬店駐車場で販売。午前11時~午後7時(同駐車場での販売は午前10時から)。