秦野市と小田急電鉄が進めてきた小田急線鶴巻温泉駅南口の整備が終わり、26日、駅前広場の開通式が開かれた。1983年度の都市計画決定から35年-。関係者は「ここからがまちづくりのスタート」と気持ちを新たにしていた。
整備では、駅舎をリニューアルし、南口改札を陸橋に移設するとともに、全長100メートルのペデストリアンデッキ(歩道橋)と接続させた。エスカレーターとエレベーターを上下線ホームに1カ所ずつ設置。広場にはバスロータリーとタクシー乗り場を設け、8月中旬にも北口からバス路線の一部を移す。整備費は市が約32億円、小田急側が約13億円で計約45億円。
県も2019年度中の完成を目指し、広場に接する県道約300メートルを、左右に3メートルずつの歩道を設け拡幅中。この坂道は今回の整備に合わせ、地元で愛されている「延命地蔵尊」にちなみ、駅南口まちづくり協議会が「延命坂」と命名。広場の一角には、かわいらしい地蔵のモニュメントが設置された。
市内の小田急線全4駅では、高低差があるために整備が難しい東海大学前駅北口を除き、鶴巻温泉駅の南口だけ整備ができていなかった。当初は17年度中の完成を目指していたが、工事の調整に遅れが出て、年度をまたぐことになった。
開通式では高橋昌和市長が「内装に秦野産の木材が使われた素晴らしい駅舎が完成した」と小田急電鉄に感謝。同社の星野晃司社長は「駅を中心ににぎわいが高まり、必ず地域の活性化に貢献すると確信する」とあいさつした。
駅南口まちづくり協議会の川上拓郎会長(53)は「まずは一区切りでほっとしたのが半分、ここからがまちづくりのスタートと気が引き締まるのが半分だ」と話した。