1. ホーム
  2. ニュース
  3. 経済
  4. 【激震 コロナショック】(上)危機 日銀に打つ手乏しく

【激震 コロナショック】(上)危機 日銀に打つ手乏しく

経済 | 神奈川新聞 | 2020年4月2日(木) 19:14

 いつになく神妙な面持ちが、事態の急変をうかがわせていた。

 「日本経済の動向がこの1~3月に非連続的になったと認識しております」

 日銀横浜支店の福田英司支店長は1日の企業短期経済観測調査(短観)の記者会見で言葉を慎重に選び、明かした。

 これまで「回復」しているとしてきた日本経済が「後退局面」へと突入したことを示唆していた。


9年ぶりの下落幅となった県内の日銀短観について説明する福田英司横浜支店長=1日午後、同支店
9年ぶりの下落幅となった県内の日銀短観について説明する福田英司横浜支店長=1日午後、同支店

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、消費が激しく停滞し特に中小企業、零細で景況感が悪化している。そうした足元の状況を踏まえ福田支店長が特に強調したのは景況感を示す業況判断指数(DI)の「先行き」のマイナス幅の大きさだった。

 全産業でマイナス12。製造業はマイナス19、非製造業でもマイナス8と大きく悪化が見込まれていた。

 「新型ウイルスの終息時期が見通せない中、強い不透明感がここに現れている。長期化するのではないかという見方もあり、国内外の感染動向が、金融経済に与える影響について強く警戒する必要がある」

 短観の調査は3月11日を基準日としている。これ以降、東京五輪の延期が決定され、首都圏各都県で外出自粛も呼び掛けられた。米国での感染拡大が報じられ、海外渡航の自粛も本格化した。

 足元の景気動向は刻一刻と悪化しているとみていい。大きな経済の波をよそに、ウイルスの猛威が地球規模で人類に襲い掛かっている。

■ ■ ■

 「3期連続のマイナス成長となる可能性が極めて高くなってきたと言っていい」

 こう断言するのは、マクロ経済に詳しい浜銀総合研究所(横浜市西区)の北田英治上席主任研究員だ。

 内閣府が3月9日発表した2019年10~12月期の国内総生産(GDP)改定値は物価変動を除いた実質で前期比1・8%減、年率換算で7・1%減と大きく落ち込んだ。世界経済の減速が尾を引いたことに加え、消費税率の引き上げもあり、消費が大きく落ち込んだ。

 この下押し状況をさらに突き落とすかのように、20年1月からじわじわと中国に端を発した新型コロナウイルスの影響が全世界規模で拡大している。3月23日には世界保健機関(WHO)が「パンデミック(世界的大流行)が加速している」と警告を発した。

 東京五輪の1年間延期も決定付けられ、日本経済に激震が走っている。

 20年1~3月期とその先の4~6月期もマイナス成長がほぼ避けがたいのが現実だ。

 北田主任研究員は「既に景気後退局面に入っている可能性が高い」と指摘。先行きについても警戒感を強め、こう言う。「この先、数年後に現在を振り返ったとき『記録的な景気後退だった』となる可能性がある」

■ ■ ■

 腰折れのような後退局面への突入に対して日銀は、日本株を買い増したり、国債の買い付けを増やしたりして、景気を下支えしようと金融政策を展開している。福田支店長は、その効果について問われ、「一定の効果が得られている」とした。

 ただ、13年から本格始動した異次元の金融緩和を軸とするアベノミクスを丸7年間継続してきたことから、国内の金融政策は、空前の「緩和」が常態化している。景気が安定して拡大基調に乗った15年以降に緩和から引き締めへと転換しなかったことから、今回のような想定外の景気後退局面に対して、効果的な手が打てない。

 そのことは米国をみれば分かる。米連邦準備制度理事会(FRB)は3月に入り、ゼロ金利政策を実施、米国債の買い入れを表明し、ドル資金の供給を一気に展開、市場の安定化に努めている。

 一方で日銀は既にこうした政策を7年間も継続してきた。

 北田主任研究員はこの点について「日銀の金融政策には効果的な一手がもうない。ぎりぎりのところまでやってきたと言っていい。もう財政出動しかない」とみる。

 福田支店長は新型コロナウイルスの影響が当初の見込みより長期化していると指摘した上で今後の動向についてこう分析した。

 「いま、通常の社会活動が制約を受けている。これを前提とした経済活動になる。需要減に注視していかなければいけない。ただ、リーマンショックの時と異なり金融システムは健全だ。これを維持し実体経済を支えなければいけない」

新型肺炎に関するその他のニュース

経済に関するその他のニュース

PR
PR
PR

[[ item.field_textarea_subtitle ]][[item.title]]

アクセスランキング