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神奈川工業技術開発大賞(5)事務作業の負担軽減

経済 | 神奈川新聞 | 2016年10月20日(木) 15:17

レバーを手前に引き、軸の向きが切れ目と合い紙が抜けた状態。レバーを押すと軸が90度回転する=横浜市港北区
レバーを手前に引き、軸の向きが切れ目と合い紙が抜けた状態。レバーを押すと軸が90度回転する=横浜市港北区

 奥にとじた書類をファイルから取り出す際、まず留め具から紙を抜かねばならないなど、面倒を感じる人は少なくないだろう。その不便さに着目して製品化したのが、「どこからでも抜き差し自在」なファイル「ヌーケ」。精密加工技術を生かし、初めて自社開発した自信作だ。

 これまでのファイルは、書類に2個以上の穴を開け、パイプなどのとじ具を通してまとめるのが一般的だった。中に挟んだ書類を抜き出す際はとじられた紙を外す必要があり、手間や時間がかかるのが弱点といえた。

 ヌーケでは、専用の穴開けパンチャーを使い、紙に切れ目が入った「溝付き穴」を開ける。紙をとじる軸は板状で、レバーを手前に引いて切れ目と向きが合うと紙が抜ける。レバー操作で軸の向きを90度変えると、紙が固定される仕組み。この方式で、紙がどの位置にあっても簡単に抜き出すことが可能になった。

 「事務作業をする人の負担を少しでも軽減したい」。坂本悟社長ら社員は8回の試作を繰り返し、3年がかりで製品化にこぎ着けたという。「IT化で文書管理の電子化が進んでいるとはいえ、重要書類は紙で保管する業界が多い」と需要を見込んだ坂本社長。「世界初」とうたうこの技術で、文書整理の手間が50%カットされるという。

 昨年秋の発売以来、大学の研究室や病院、企業で活用されている。今後の目標は、薄型で安価な穴開けパンチャーを展開するなどして一般消費者への供給を広げることだ。

 同社は自動車や携帯電話向けの精密部品を下請けする金型メーカー。リーマンショック後に売り上げが最盛期の4割まで落ちた経験から、景気動向に左右されないために自社製品の開発が必要と考えた。

 「研究開発室」を立ち上げ、都内で開講された商品開発の講座に足を運んだり、社内に提案制度をつくったりして誕生したのがヌーケ。記念すべき初の自社商品を前に坂本社長は「まだまだ無名。受賞を機に、大勢の人に使ってほしい」と語った。

 ◆キョーワハーツ 1958年1月設立。資本金1千万円。精密順送金型による携帯電話に利用される微細な精密プレス加工や板バネ加工。従業員17人。横浜市港北区高田西1丁目。


キョーワハーツ坂本悟社長
キョーワハーツ坂本悟社長

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