県内を走る大手私鉄4社(東京急行電鉄、小田急電鉄、京浜急行電鉄、相鉄ホールディングス)の2018年3月期連結決算が出そろった。東急、小田急、相鉄が増収増益。東急と相鉄は、純利益が過去最高を記録した。雇用環境の改善で通勤需要が伸びたほか、沿線人口が増加するなどし、各社とも本業の運輸業が好調だった。
全社が鉄道の輸送人員を増やした。京急は羽田空港国内線・国際線ターミナル駅合計の利用が前期と比べて5・2%伸びるなど、訪日外国人客の拡大も寄与して5年連続で過去最多を更新。旅客運輸収入も過去最高だった。小田急は、訪日客人気の高い箱根エリア周辺の鉄道利用を取り込んだ。行楽シーズンの臨時列車や各種キャンペーンを展開。江の島・鎌倉エリアへの誘致も進めた。
不動産業は、相鉄が売上高を前期比14・0%増の660億円と大きく伸ばした。マンション販売戸数が伸び、1戸当たりの販売価格も上昇。土地売却収入も計上した。京急も分譲土地の売却や、賃貸オフィスビルの取得で2桁増。東急は利益率の高い物件販売収入が貢献した。
訪日客需要が追い風となっているホテル業は、小田急が箱根のリゾートホテルで客室稼働率を維持し、営業利益は5・4%増の59億円。京急と相鉄は、沿線などで展開するビジネスホテルの利用客を伸ばした。一方、東急は米ハワイの大型リゾートを譲渡したことが響き、ホテル・リゾート事業が減収減益となった。
流通業が利益を押し上げたのは京急で、営業利益は23・2%増の26億円。物販販売が好調だったことや、京急百貨店の改装効果が出た。19年3月期の連結業績は、小田急と京急が増収増益を予想。東急と相鉄は、純利益を減益と見込んだ。
4社設備投資計画 新型車両導入やホームドア設置
4社は2018年度の設備投資計画を発表した。
東急は、前年度より95億円増額した597億円。田園都市線の地下区間で大規模な設備更新を実施。また新型車両「2020系」を6編成導入する。
小田急は336億円。開成駅などのホーム延伸やホームドア設置工事を進めるほか、新型特急ロマンスカーGSE(70000形)は2編成目を製造する。
京急は236億円。高架橋や盛り土の耐震補強工事やのり面防護など防災・地震対策を継続する。4ドア車両の廃車を前倒しして、車両を新造する。
相鉄は126億円。ホームドアの設置準備工事を進めるほか、新型車両「12000系」を導入する。既存車両や、西横浜など3駅の駅舎を改装する。