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急きょ自社用にマスク「生産」、取引先から注文相次ぐ

経済 | 神奈川新聞 | 2020年3月14日(土) 05:00

半導体製造蔵置部品メーカーで作られたマスク
半導体製造蔵置部品メーカーで作られたマスク

 マスクがない─。県内の半導体製造装置の部品メーカーが急きょ、社内のクリーンルームを使ってマスク生産に打って出た。担当者は「とにかくマスクがない」とこぼす。マスクがなければ稼働できない製造現場もあって評判は瞬く間に広がり、取引先の大手食品メーカーなどから100枚単位で注文が相次いでいるという。

 「自社の工場だけで使い捨てのマスクを1日に300~500枚も使ってきたのですが、2月上旬ごろから入荷が難しくなり…」

 こう話すのは、川崎市麻生区にある半導体製造装置部品メーカー「東京技術研究所」の片岡薫生産技術部長だ。そこで社内で作れないものかと考え、編み出した。

 同社では耐熱性のあるアクリル製の布を半導体製造装置の部品に使ってきた。この布は裁断機で切るときに端材が出てしまっていた。これを使えないものか。調べるとクリーンルームで作業する際に着る「無塵(じん)衣」に使われている生地だと分かった。繊維が塵(ちり)となって作業空間に出ない水準(クラス100~1000)という。

 この特殊な布が幅50センチ、長さ500メートルの端材として倉庫に眠っていた。マスクにして約4500枚程度が作れるストックとなった。布の大きさや製法を試行錯誤して仕様を決定、耳にかけるゴムは新たに調達。完成した試作品を20回洗濯して耐久性を確認し、2月中旬ごろから本業の傍ら「生産」を始めた。

 「マスク不足がここまで長引くとは思わなかった」と片岡部長。当初は自社の工場で働く人向けに数百枚作る予定だったが、取引先にも提供したところあっという間に「うちも欲しい」「あと50枚買いたい」と注文が殺到した。紫外線消毒し、真空パックして出荷するルートを構築して定価も1枚330円と設定した。

 県内に工場がある大手食品メーカーや化学薬品メーカーのほか、北海道や愛知県の取引先からも声が掛かった。今では千枚を超える注文が積み上がっているが、「布に余裕がある限り、受注に応えていきたい」としている。

 会議室だったスペースをクリーンルーム化。カーペットだったためシートを敷き詰めて対応した。ミシンを買い足してフル生産量を引き上げ、日産150枚にまでなった。

 片岡部長は「いまもスーパーなどの店頭にはマスクがない。既存メーカーによる生産品の供給が本格化しても、まずは医療機関向け、次に店頭から家庭へ、産業用は最後になると思う」と心配している。

 食品メーカーや半導体製造の現場では、粉塵(ふんじん)の出ないマスクが必需品になっているところが多く、今後マスク不足が長引き深刻化すれば、そうした現場への影響も懸念される。

 「どうしても無塵マスクでなければ作業ができない場所がある。できるだけ早くそうした現場へ届けたい」

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