
主に建設機械向け部品の板金加工を手掛ける栄和産業(綾瀬市)は、高度な深絞りの技術と多品種少量生産が強み。業績を伸ばす一方、社員の国籍、性別、年齢、障害の有無を問わない「ダイバーシティ(多様性)経営」の実践企業としても注目を集めている。多様性を成長力にしているのは、現場での学びを重視する伊藤正貴社長の経営方針にある。
同社の社員数は10月現在155人。うち外国人39人、障害者10人。後進の育成を担う65歳以上は13人で、最年長は79歳。伊藤社長は「いろいろなことに向き合いつつやっていたら、ダイバーシティになっていた」という。
今春は13人(うち障害者2人)が入社し、来春は11人(同3人)が内定している。中小企業の人手不足が叫ばれている中、なぜ同社には人が集まるのか。
父親の先代社長が経営していた同社に、伊藤社長が入社したのは1988年。当時の社員は10人ほど。いわゆる3K(きつい、汚い、危険)職場で、「なかなか人が集まらなかった」と振り返る。
現在につながる大きな転機として伊藤社長が挙げるのが、25年前に行った人事評価制度の変更だ。