「ピンチをチャンスに変えたことで、新しい商品が生まれた」。泉工業の塩脇衛副社長は、電子レンジほどの大きさの小型なプラズマ処理装置「ipsolon(イプソロン)」が誕生した経緯をそう説明する。
始まりは10年以上前にさかのぼる。2008年、リーマン・ショックが同社を襲った。1985年の創業以来、金属製品製造業一筋だったが売上高は前年比6割減まで落ち込んだ。
「このままでは会社がつぶれてしまう」。塩脇勝実社長は新規事業の立ち上げを決断し、さまざまな勉強会に足を運び始めた。あるとき、大気圧中でプラズマを発生させる研究が行われていることを知る。