小田急電鉄(東京都)は7日、次世代移動サービス「MaaS(マース)」の実用化に向け、経路検索アプリ「EMot(エモット)」を新開発し、実証実験を10月末に箱根と川崎・新百合ケ丘などで始めると発表した。来年3月までを予定している。
箱根で行われる実験では、同社系列の電車やバス、ケーブルカーなどが乗り放題の「箱根フリーパス」をアプリ内でも販売。現在地周辺の温泉宿や美術館といった優待施設を表示する地図機能を備え、これらのサービスがスマートフォン一つで受けられるようにする。
小田急線新百合ケ丘駅周辺では、同社の商業施設「新百合ケ丘エルミロード」で2500円以上の買い物をした人に、駅と自宅最寄りの停留所を結ぶ小田急バスの往復チケットを無料発行し、駅前の渋滞緩和効果を検証する。同駅と、新宿駅構内の飲食店計7店舗で使える割引チケットもアプリで発行する。
星野晃司社長は「移動シーンにプラスアルファの価値を生み出して新しい『行き(生き)かた』を提案し、日本一暮らしやすい沿線を実現したい」と話した。
マースは、一つのサービスで異なる交通手段の検索や予約、決済を可能にする仕組み。小田急は、これらの提供に必要な交通や地図情報などの各種データを連携したシステム「マースジャパン」の開発を進めており、アプリに順次、機能を追加するという。