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低価格スーパー 人気の裏側(上)
【成長】「損はしない」安心感

経済 | 神奈川新聞 | 2019年9月19日(木) 16:38

商品を次々と手に取り、まとめ買いする来店客 =オーケーみなとみらい店
商品を次々と手に取り、まとめ買いする来店客 =オーケーみなとみらい店

 「近所のスーパーより断然安い。高校生の子どもが2人いるから助かるよ」

 連日買い物客でにぎわっている食品スーパー「オーケーみなとみらい店」(横浜市西区)。妻とともに訪れた40代の男性会社員は来店した理由をそう話した。

 「1、2週間ごとに来ては、まとめ買いする」と言い、碁盤の目のように整理された店内を、ショッピングカートを押しながら回っていく。生鮮品や調味料、飲料などの商品を次々と手に取り、30分足らずで三つの買い物かごをいっぱいにし、満足げにレジに向かった。

 1958年に創業し、競争の激しい首都圏で店舗を展開するオーケー(同)。近年、出店を加速させ、2009年3月末に55店だった店舗数は、19年3月末には117店となった。

 消費者を引き付けている最大の理由は、経営方針でもある「高品質・Everyday Low Price」だ。特売は行わず、常に競合店に負けない価格まで引き下げて販売する。「オーケーで買えば損はしない」。そうした安心感から、消費者の支持を集めている。

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 「かつては総合スーパーが業界の牽引(けんいん)役だった」。浜銀総合研究所の佐橋官主任研究員は、業界の変遷をそう振り返る。

 食品だけでなく、日用品や家電、家具など幅広い品ぞろえで、「百貨店より安く買える」と人気を呼んだ。1980年代にはダイエー(後にイオンが買収)やジャスコ(現イオン)、イトーヨーカ堂(東京都)などの大手が全国に店舗網を拡大。スーパー市場全体を成長させていった。

 潮目が変わったのは、90年代。ユニクロ(山口県)やヨドバシカメラ(東京都)などが専門店を展開し、総合スーパーの優位性が薄れていった。

 「中堅スーパーの台頭の影響も大きい」と佐橋主任研究員は指摘する。バブル崩壊の景気悪化で、消費者の節約志向が高まり、低価格を売りにした中堅スーパーに客足は流れていった。

 その結果、イトーヨーカ堂では直近5期連続で最終赤字に低迷。最大手のイオンリテール(千葉県)は近年既存店の減収が続いており、総合スーパーは苦戦を強いられている。

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スーパーマーケット業界の総売上高シェアの推移
スーパーマーケット業界の総売上高シェアの推移

 一方、中堅スーパーの代表格であるオーケーは、既存店・新店ともに業績が好調で、2009年3月期に1921億円だった売上高が、10年後の19年3月期には3936億円と倍増している。

 神戸物産(兵庫県)が展開する「業務スーパー」も成長著しい中堅スーパーの一つ。店舗の看板に「一般のお客様大歓迎」と掲げ、業者だけではない幅広い客層をターゲットとし、低価格な商品が店頭に並ぶ。フランチャイズによる出店で全国に店舗網を広げている人気スーパーだ。

 全国スーパーマーケット協会によれば、業界全体の総売上高に占める大手スーパー(上位10社)の売上高が、1998年には33%だったが、2017年には23%まで減少しているのに対し、中堅スーパー(上位11~50社)は21%から31%まで上昇している。

 消費税増税や人件費の上昇、少子高齢化-。業界に吹き付ける逆風は今後ますます強まることが予想されるが、オーケーの二宮涼太郎社長は、さらなる高みを目指す。

 「今まで以上にお客さまに選んでいただけるよう、品質あっての価格訴求というアプローチを追求していく」

 業界を取り巻く環境が厳しさを増していく中で、消費者を引き付けている低価格スーパー。他社にはない独自性や高品質など、低価格だけに頼らない、高い競争力実現の裏側に迫る。

 
 

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